秋田30景「鶴形金比羅宮」
  能代市鶴形地域にある金比羅宮は、小規模ながらも見応えのある建物で、秋田三十景に登録されています。地域の中心地から南東にある山中にあり、神社入口前にある池には鮮やかな赤い欄干が架かっています。杉並木に囲まれた参道を登ると、立派な夫婦杉が見え、急勾配の石段を登ると随所に凝った彫刻の施された金比羅宮に到着します。

 鶴形地域の金比羅宮は、讃岐(香川県)の琴平山(ことひらやま)にある金比羅宮と、よく似た形をしていますが、これには理由があります。
 この神社を建てたのは旧鶴形村の13代当主、小林七右衛門、源正舜(みなもとのまさきよ)です。七右衛門は少年時代に天然痘にかかりました。そこで、讃岐にある金比羅宮に熱心にお参りしたところ、天然痘が治り、金比羅宮を深く信仰するようになったといわれています。そして、成人した七右衛門は鶴形地域にも金比羅宮を立てようと、琴平山に似た場所として、水尾沢(みずおさわ)を選び、建築のための準備に10年、建築に9年の歳月をかけて金比羅宮を作りました。
 
 建築工事をすすめる間、七右衛門は2人の従者を連れて讃岐の金比羅宮にお参りし、貴重なお札を頂きました。その時に頂いたお札をご神体として祀っています。そのため、祭神は大物主神(おおものぬしのかみ)で、讃岐の金比羅宮と同じです。鶴形地域は米代川での舟運(しゅううん)で栄えた町である事から、大漁や海上守護を祈願し参拝者が多いようです。
 
平成26(2014)年5月掲載
■参考文献
『わたしたちの鶴形』(編集:鶴形小中学校教育研究グループ)
『現地説明看板』(設置:鶴形地域まちづくり協議会)

こちらの記事もおすすめです

送り彼岸の地蔵(ジンジョ)焼き

 彼岸には死者の霊がこの世に降りてくると言われています。 能代市鶴形地域では毎年3月の送り彼岸の日に、死者の霊を供養し、五穀豊穣、無病息災を祈願する「地蔵焼き」を住民が米代川河川敷で行います。  地蔵焼きは「地蔵」...

伝統行事・イベント

季節の行事

農家民宿 おしゃべりroom Watanabe

 農家民宿「おしゃべりroom Watanabe」は、能代市鶴形地域の高台、釣潟神社から3軒隣に位置します。淡い青緑色が目印で、建物の2階からは米代川の眺望と一緒に、天候に恵まれれば白神山地の山々も見ることができます。    オー...

自然・施設

体験施設

鶴形ささら

  「ささら」は、江戸時代、佐竹義宣公が水戸から秋田に転封された際、家来が殿様を慰めるために道中踊ったのが始まりと言われています。その時、能代市の鶴形地域にも伝わったといわれるのが「鶴形ささら」です。 家内安全、五...

伝統行事・イベント

郷土芸能