画像:沼エビ

 にかほ市・冬師集落の南には約260ヘクタールにおよぶ広大な冬師湿原があります。鳥海山の大噴火による山体崩壊で押し寄せた岩石が河川をせき止め、湿地帯や無数の湖沼が生まれたと考えられています。

 冬師・釜ケ台地域では、こうした湖沼がもたらす恵みを上手に生活に取り入れています。

 紅葉の頃、集落のお母さんたちが胴長靴をはいて、沼へと入っていく姿が見られます。お母さんたちの目的はこのあたりでは「沼エビ」と呼ばれる、体長1cmほどの小さな淡水性のエビです。

 お母さんたちは、ザルを何度も何度も水中に入れては、小さな「沼エビ」を少しずつすくっては、バケツに集めます。冷たい水の中での作業となるため、大変貴重な食材といえます。

 苦労して採集したその沼エビ、サッと塩茹ですると透明感のある身が真っ赤にかわり、エビ独特の香ばしいかおりが漂います。それをあっさりとした大根おろしとからめると、冬師集落ならではの珍味の完成です。爽やかな大根おろしの風味の中、プチプチとはじけるエビの旨味は、冬師集落に伝わるご馳走のひとつです。

平成23(2011)年4月掲載

こちらの記事もおすすめです

冬師番楽

-本海流番楽の流れをくむ伝統の舞い!-  8月14日、夏の熱気真っ只中に冬師番楽は行われます。夕方7時頃になると、にかほ市・冬師集落の集落会館へ続々と観客が訪れます。その間、外に出されたスピーカーからは賑やかに...

地域活動

地域団体

釜ケ台番楽

    釜ケ台番楽の始まりは、今から約400年前に京都の修験僧「本海行人」が伝えたとされています。鳥海地区を中心に広がる「本海流番楽」の流れをくみ、冬師(とうし)、伊勢居地(いせいじ)などの番楽と共通点が見られます。    舞は神...

伝統行事・イベント

郷土芸能

冬師湿原

 にかほ市・冬師集落の南側には、約260ヘクタールにおよぶ「冬師湿原」が広がっています。 雪解けのころ、スプリングエフェラルメを代表するミズバショウが一斉に開花する「冬師湿原」は、数多くのカメラマンを魅了しています。...

自然・施設

ビューポイント