画像:黒坊様(稲倉神社)

 にかほ市横岡地域で「黒坊様」と呼ばれている稲倉神社(黒羽神社)は、鳥海山の手前にある稲倉岳の中腹に位置する神社です。

 かつては勝負事の神様として、出征する兵士の信仰を集めた神社でした。今でも横岡の皆さんの信仰は篤く、毎年7月の第一日曜日に、神社への参道、そして神社周辺の刈り払いが氏子と有志によって続けられています。
 
 林道の途中から登山道へ進むと、かつて使われていた横岡の上水道跡を見ることができます。ちょっときつめの斜面を登っていくと、「大明神」と呼ばれる竜神さまへの分岐を過ぎます。ここから再びゆったりした登りが続いていきます。
 
 鳥居をくぐった先にあるのが「奥之院」の石碑、ここから先が神の地であることを感じさせます。なだらかな道が続き、巨石の間から流れ出す清水など、神秘的な光景も見ることが出来ます。
 
 しかし、なだらかだけでは終わりません。最後の数百メートルは心臓破りの坂です。地元では「すべ(しべ)坂」と呼ばれる最後の登りは、体感では垂直な山肌に手をかけて登っていくようなもので、一気に高度を稼いでいきます。
 
 登りきった先にある、頑丈な石造りの神社が黒坊様です。高度を一気に上げたせいか周囲の景色は一変し、一面ブナの木々が見えます。周囲は綺麗に刈り払われており、見上げれば緑に輝く木々が印象的です。
 
 これだけの山奥にありながら、丁寧に整備されている、その一点だけでも氏子さんたちの崇敬の篤さを感じることが出来る神社です。
※訪れる際は現地の方の案内を必ず受けてください。
平成23(2011)年4月掲載

こちらの記事もおすすめです

サバ缶うどん

 にかほ市横岡地域の各家庭で食べられている「サバ缶うどん」は、醤油ベースのうどんです。  材料は、しいたけ、ネギ、油揚げ、そして缶詰のサバの水煮。こってりした見た目と違い、味はあっさりしていて、するするとたいら...

その他

石持ち占い

 にかほ市横岡地域では、2月の最初の午(うま)の日に「初午(はつうま)行事」が行われます。集落の稲荷神社のお祭りで、前夜祭は個人宅にある「横岡正一位宇賀稲倉神社」で「石持ち占い」が行われます。「横岡正一位宇賀稲倉...

伝統行事・イベント

季節の行事

鳥海山日立舞

  お盆まっただ中の8月13日と15日「鳥海山日立舞」の本番の日です。夜の7時を過ぎる頃、横岡自治会館の前に作られた舞台には、沢山の人、人、帰省した方々も加わって、立ち見が出るほどの人気です。  7月1日に「神おろし」が...

伝統行事・イベント

郷土芸能