夏の加茂青砂の近海は、全長20cmをゆうに超すクルマエビの漁場となっています。
前日から刺し網が仕掛けられているのは、漁港より約1マイル(1.6㎞)ほど離れた地点。仕掛け場所に着くや否や、慣れた手さばきで浮きを掴みあげそのまま網の巻き上げに入ります。激しく揺れる船上もなんのその。繁喜さん曰く、「漁師はバランスを膝でとる。一般人とは作りが違うんだ」。
1本300mの刺し網を巻き上げていくと、ビチビチと激しく暴れるクルマエビが姿を見せます。こちらも手際よく網より外し、生け簀にひょいと投げ込まれます。生け簀に入れられたエビたちはまた元気に泳ぎだします。ここのクルマエビは、サイズ、鮮度、味、どれをとっても一級品、高級食材として取引されています。
そんな加茂青砂のクルマエビ、漁師さんたちオススメの食べ方は塩焼きです。シンプルな味付けがクルマエビ本来の旨味を引き出します。全体が淡い紅色に染まり、焼きあがったエビのお頭を取ると中から溢れてくるのは、濃厚なエビミソ。お頭にしゃぶりつき、すすると口いっぱいに広がるクルマエビならではの香りとコク。
男鹿の荒波に育てられた、ピンと引き締まりながらも、ボリューム満点の大きな身は、まさに絶品です。