秋田県で「ナマハゲ」と聞くと、真っ先に思い浮かべるのは、“男鹿のナマハゲ”だと思います。
ところが……
秋田市上新城地域でも、100年近く続いていると言われる「ナマハゲ」行事が行われています。
毎年、小正月に行われるこの行事を、ナマハゲが身にまとう“ケラ”の準備から通してお届けします!


上新城地域でナマハゲ行事を行っているのは、小又(おまた)集落と白山集落の住民有志で作る「双葉親交会」の皆さんです。
1月12日(日)、本番15日を前にナマハゲの衣装である“ケラ”の製作を行いました(^^)

   
場所は小又公民館、毎年、双葉親交会の総会と兼ねて行うそうです。
使用するワラは、それ用に保存しておくそうですが、今年は、一昨年の豪雨水害で米にならなかった稲のワラがまだ残っているとかで、
それが使用されました。

         


まずは、ワラの“シベ取り”から、ブサブサだったりする余計な部分をはいでいきます。


皆さん、長年携わってきているので、手さばきが早い、早い!
あっという間にシベ取りが終わります。


続いて、綺麗になったワラを編んでいきます。

              

               
束ねたワラを三つに分けて、編み始めましたよ^^
「1年に1回しかやんねえがら、忘れてしまうでよ~」と、口々に言いながら、手はさっさと動いています。何十年と続けていると、手先が覚えているのでしょうか。。。
※ケラ編みの様子は、インスタグラムにて動画を紹介しています。
↓ ↓ ↓
「あきた元気ムラ」@akitagenkimura

   

一つ、二つと編まれたワラがどんどん出来上がっていきましたよ^^
上半身用と腰用と一体につき、二つのケラを準備します。

           
編み込みが終了すると、結び目のところからワラを広げていきました。これで胴体の一つが完成です。



30分くらいで、二体分のケラが完成しました!


ちなみに本番当日に使用されるお面は、面彫師・石川千秋(せんしゅう)さん作のものです。髪の毛は馬の毛だとか。迫力があるお面ですね(^-^;
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さて……
行事本番当日の1月15日(水)、双葉親交会によるナマハゲ行事が行われました!
    


小又(おまた)集落と白山集落の1軒、1軒(不幸があった家は除く)全戸をナマハゲに扮した住民がまわりました。
昔は、家の中まで入り、子供、初嫁を探して暴れ、最後に家の主人が酒を振舞っていたようですが、現在は玄関先に顔を出して退散するようです(^-^;

そんなこともあり、上新城地域にある秋田市農山村地域活性化センター「さとぴあ」では、ナマハゲ行事を一般の方からも体験してもらいたいと農家民宿「重松の家」で体験講座を開き、
一般募集で、15名弱の参加者が集まりました♪近隣にお住いの方が多かったようですが、遠くは五城目町から参加した方も!



始めは餅つき体験から!



親御さんと一緒に重たい杵を頑張って振り下ろしてますね^^
ついた餅は、きなこやゴマをトッピングして皆さんに振舞われました!

そして、いよいよナマハゲ登場です!

「うぉ~、うぉ~」とうなり声をあげながら、「重松の家」にやってきました!




参加されたお子さんの中には、泣き出す子も!そこが、ナマハゲの醍醐味ですが…
ビックリされたかもですね(^-^;

   
暴れまわったあとは、家主のもてなしを受けます。

     
最後に、ナマハゲから1年の無事安泰を祈るお札が授与され、一連の行事は終了になります。
今回の参加者も希望者のみ、お札をもらいました。

双葉振興会が行うナマハゲ行事の集落には、高齢化がすすみ、お子さんはいないとか。
「今回、近隣から4人も子どもが参加してくれて嬉しい♪」と、主催者の方々が話していました。


上新城地域の小又、白山集落のナマハゲ行事は、当時、地域の地主のもとで働く「めらし」と呼ばれていた使用人に、お餅を食べたり、お酒を飲んだりしてほしいという、寺の和尚さんの思いから始まったもので、100年近く続いている行事です。
昨今、高齢化によりケラ編みができる人も減少してきて、世代交代がスムーズに進んでいないこともあるようですが、
それでも、双葉親交会の皆さんは、小正月の日に楽しみに待っている住民のためにも存続させていきたい気持ちで、行事の継承に向けて頑張っています。

以上、秋田市上新城地域よりナマハゲ行事についてお届けしました!

●おまけ
   
ナマハゲだけでなく、参加者にも料理が振舞われました(^^♪
普段、お膳で食べる機会が少ないお子さんたちにとっても、良い思い出になりますね。