画像:仙北道(せんぼくみち)復活の取組

   -再び目覚めた古(いにしえ)のブナ道-

 仙北道は平安時代から人々が往来した街道でしたが、大正時代に、北上~横手を結ぶ平和街道(現在の国道107号線)が開通したことにより、街道としては忘れ去られてしまいます。

 この街道は「栗駒山・栃ヶ森山周辺森林生態系保護地域」に指定されており、「手つかずの自然」が残る地域で、長い間森に沈んだ道はまさに道なき道、調査して踏破するだけでも凄まじい苦労があったと聞きます。

 この踏破(とうは)をきっかけに、秋田県側と岩手県側の双方で結成された「仙北道を考える会」が、交互にこの仙北道を通り交流を始めるようになります。また、峠や史跡が良くわかるように、目印の石碑を各所に置き、道路の整備を行うようになりました。

 仙北道の距離は、秋田県側の事実上のスタート地点「十里峠」から岩手県側「大寒沢林道終点」まで約12km。途中、1000m級の山々の峰があったり沢へ降りては登るルート、しかも途中にエスケープルートが無かったりと、中間点を過ぎたら歩き切るしかない! という険しいコースです。車道と重なる部分も含め、すべてのルートを回ろうとすると、さらに歩かなければいけません。まさに当時の人々の健脚ぶりを感じられるコースであり、自身にも高い登山スキルを要求されるコースとなっています。

 途中には、藩境塚、丈のくら、柏峠、山神の石碑などなど、たくさんの史跡が残り、中でも椿台地域にほど近い弘法大師の祠では、今でも有志の方々によりお祭りが行われています。

 保護地域の中ではありますが「元々あった道」ということで、整備や通行ができ、そして保護地域ゆえに、江戸時代からの姿をそのまま残す貴重な道ともなっています。

 令和元(2019)年には文化庁が選定する「歴史の道 百選」にも選ばれています。

平成24(2012)年5月掲載
   令和3(2021)年10月更新

※登山道は上級者向けのルートとなっており、初めての方は案内人なしでは踏破は非常に難しい場所です。

 


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