画像:郷土芸能「きつねばやし」「ぎおんばやし」「草音頭」

 横手市戸波(となみ)地域では、郷土芸能保存会により、「きつねばやし」「ぎおんばやし」「草音頭」の3つが特に力を入れて保存され、今に伝えられています。「きつねばやし」と「ぎおんばやし」は元禄年間(1688年~1704年)、加賀国(現石川県)金沢の浪人、対馬監物(つしまけんもつ)によって伝えられたとされています。

 「きつねばやし」は通常6人1組となって踊ります。女性の踊りで、赤いハギコ(昔の嫁入り衣装の下着)に鳥追い笠、素足に藁草履という出で立ちで手ぬぐいを持ち、かがり火の周りを円になって踊ります。5人または7~8人の囃し方がお囃子を演奏します。軽快なリズムで、親しみやすい踊りです。
 
 かつて、旧暦4月8日の戸波神社の祭典や作祭り(豊作祈願)の際に、戸波神社前の石畳で奉納されていました。戸波神社は高台にあり、参詣するのが大変だったため、明治時代末期には地域内で舞台を設け、そちらで奉納するようになりました。昭和に入り、戦時体制の元で昭和10年(1935年)に一度中断。昭和17年(1942年)に復活する際に、歌詞など伝わっている部分を集めましたが繋がりきらず、内容を考えて付け足されました。
 
 「ぎおんばやし」は赤い振袖に白足袋で踊られる、優雅な座敷舞です。文化8年(1811年)に9代久保田藩主・佐竹義和公が仙北地方を巡検の折、増田村に宿泊した際に披露し、褒め称えられたと言われています。「ぎおんばやし」も一度中断してしまい、戸波芸能保存会が「平七バッパ(お婆さん)」に習って復活させました。踊りの内容と歌詞の断片、「振袖に白足袋、素面で踊る」ということだけが伝えられ、平七バッパは亡くなってしまい、今の形は戸波芸能保存会が練り直したものです。お囃子だけで演じられることもあります。

 「草音頭」は盆踊りの一種で、戸波踊り念仏が起源ではないかと言われています。リズミカルなお囃子と「秋田音頭」に似た明るい節回しが特徴で、庶民的な楽しい踊りです。8月16日のお盆で踊られ、帰省してきた地域の皆さんも一緒になって踊ります。 

平成25(2013)年6月掲載

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