鹿島(かしま)様といえば湯沢市岩崎の高さ4mを超す鹿島人形が有名で、湯沢市内では道路沿いや神社などの屋外によく祀られています。悪霊や疫病など悪いものが入ってこないように集落の外を向いているのに対し、横手市木下(きじた)地域の鹿嶋様は、お堂の中に入って集落の内側を向いています。これは、集落で苦しい思いをしているものが居ないかと見守るためと伝わっています。
木下地域の中心部にある鹿嶋神社に藁でできた「鹿嶋様」が祀られています。紙で書かれた顔は怖い顔ですが、悪疫退散の願いが込められています。
無病息災、五穀豊穣を祈り、毎年7月に開催される鹿嶋神社祭典(鹿嶋送り)に合わせて作成します。
祭典当日は鹿嶋様を荷車に乗せ、荷台の後部につけられた太鼓を叩きながら、集落内を巡行して、最後に鹿嶋神社に鹿嶋様を納めます。
初代秋田藩主である佐竹義宣公が常盤(茨城県)の水戸から秋田へ移封してきた時に伝わったと推測され、家老梅津政景日誌によれば、「常盤の鹿嶋派修験者たちが寛永年代に鹿嶋信仰布教の為、当地方を回遊した。」と記述が残っています。そのため、約400年の歴史があるのではないかと推測されます。地域には明治7年(1874年)記 鹿嶋神社雑田帳という130年前の古文書が残されています。
平成26(2014)年5月掲載
■参考資料
・『いずみ』平成10年(1998年) 十文字町西地区館 公民館発行
・『木下・北沢地域の鹿嶋様作りDVD作成について』
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