画像:鳥海山日立舞

  お盆まっただ中の8月13日と15日「鳥海山日立舞」の本番の日です。夜の7時を過ぎる頃、横岡自治会館の前に作られた舞台には、沢山の人、人、帰省した方々も加わって、立ち見が出るほどの人気です。

 7月1日に「神おろし」が行われ、練習が始まります。8月の本番、そして9月1日に神送りが行われて番楽の季節は終わります。この他に、地元以外でも由利本荘市やにかほ市のイベントで演じられ、他の番楽などの伝統芸能との共演も行われます。
 
 鳥海山日立舞は、地元の方の話によると、今から約370年前、嘉永17年(1640年)に矢島の生駒氏の番楽を矢島の若勢(わかぜ、若者たち)が伝えたと言われています。また、由利本荘市鳥海の下百宅(しもももやけ)地域の文平が横岡の若者たちに請われて伝授したとも言われており、下百宅地域でも同じ伝承が残っています。
 
 古くから親しまれてきた日立舞は、お盆の仏様の慰霊に、集落の大事な楽しみとして受け継がれてきました。第二次世界大戦の最中の昭和18~20年(1943~1945年)頃、一度途絶えましたが、戦後の昭和22年(1947年)に復活しました。2011年現在、保存会のメンバーは25人おりますが、7人のお囃子を除いて全員が舞い手を務めます。
 
 演目は全部で23演目が残っており、演目ごとに全部違うお囃子がつきます。お囃子の拍子は静かな「五拍子」と勇ましく速めの「三拍子」とに分かれています。このお囃子の伝承が一番大変ですが、最近は若い人たちが5人も参加してくれました。
 
 沢山ある演目の中で保存会の方たちのお勧めは、姉妹の敵討ち「団七」と鬼退治の「田村」です。「田村」は動きも激しく見応えがあります。また「団七」は昔から語り継がれている宮城県白石近辺のかたき討ちの話ということで、地元東北の話というのもお勧めのポイントです。
 
 色々な演目が演じられますが、必ず最後は「空臼(からうす)からみ」と呼ばれる3人が棒を持って空の臼をつく舞いで終わります。途中の演目は、激しいものからゆっくりとした伝統芸能の重みを感じられるもの、さらに途中で客席へ飛び込むなど、本当に様々な舞いを2時間ほどじっくり楽しむことが出来ます。秋田民俗芸能アーカイブスで舞の一部が公開されていますので、是非ご覧になってその魅力を感じてください。

平成23(2011)年4月掲載 

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