五城目町内川地域の浅見内集落には、奈良時代から伝わる神社があります。昔は「浅見内産土神社(あさみないうぶすなじんじゃ)」と呼ばれ親しまれていた、現在の「浅見内神明社」です。
浅見内集落の内川川に架かる「神明社橋」を渡ると、田園風景の先にうっそうとした森林が見えてきます。御影石で造られた立派な鳥居がそびえ立ち、その先には急な石階段があります。その石階段は、山をなぞるように中腹へと続いており、境内へ上る石段と神明社の縁側までの階段を数えると、138段もの段数になります。
境内には、男鹿石に文字が刻まれた碑や、皇紀2600年記念碑、村有地買い戻し記念碑、集落に功績を残した人々を称えた石碑があり、天保の飢饉後に建立したとされる石灯籠も今も変わらず境内に残っています。
もともと、浅見内神明社は山の下の平地にありましたが、昭和35年(1960年)、産土神社氏子総代会での協議により、現在の山の中腹へと移転することとなりました。
浅見内神明社では昔から俳句会が開かれており、堂の中には俳句を詠んでいる様子が描かれた絵が残されています。また、5月5日の子どもの日に行われる、神明社の中に保存されている御神輿を担いで町内をまわるお祭りもあり、地域の方々から親しまれている神明社になっています。
また、拝殿に吊るされている梵鐘は、神仏混合の風習があった昔から親しまれており、その時の梵鐘は、太平洋戦争中に一度無くなってしまいました。しかし、親しみ鳴らし続けていた梵鐘を地域の方々が惜しみ、昭和25年(1950年)8月に造り直され、今も地域の方々に親しまれ続けています。神明社を訪れた際には是非、梵鐘を鳴らしてみてはいかがでしょうか。
ただし、参拝後に梵鐘を鳴らすのは、「返り打つ」と言われ嫌われているそうなので、参拝前に鳴らすようにしましょう。
■参考文献
松橋正之助『浅見内部落のこぼれ話』
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