伝統は若者たちの表現の場へ
盆踊りだけでなく、もっと太鼓を叩きたい。様々な人に聴いてもらいたい」。そうした想いと共に、小坂町鴇(ときと)地域の鴇大太鼓保存会は結成されました。
古くから地域に伝わる鴇大太鼓は、盆踊りと共にありました。集落の人々が楽しみにしてきた鴇大太鼓ですが、盆踊りは集落に不幸事があると行われません。不幸事が続いて何年も盆踊りが行えず、大太鼓の響きがしばらく途絶えた時もありました。そんな時、同じ小坂町の万谷大太鼓保存会から「鹿角ふるさと大太鼓大響演会」に出てみないかとの誘いがあったのです。
鹿角ふるさと大太鼓大響演会は、鹿角市や小坂町の各集落に伝わる「大太鼓」の団体が一堂に集まるイベントで、毎年8月下旬に開催されています。その時は参加できなかったものの、数年後、鴇の若者たちが「やってみたい」と声をあげ、鴇大太鼓保存会が生まれました。保存会結成から約十年、活動は集落の若者を中心に今も活発に行われています。
鴇大太鼓には「大拍子(だいびょうし)」と「高屋(たかや)」という2つの曲が伝わっています。さらにもう1曲、「狸(たぬき)」を加え、「鹿角ふるさと大太鼓大響演会」では3曲が演奏されます。華麗なバチさばきから繰り出される重厚な音は、耳というより体全体に響いてきます。
太鼓の縁に激しく打ち付けられる左手は、血が滲んでしまうことも。また、重さ3~40kgにも及ぶ大太鼓を二人で持ち上げながら演奏を続けるには、並はずれた体力も必要です。
「楽しいのはメンバーとの交流が深まること」。「他の集落の練習する音が風に乗って聞こえてくると、『おれたちも頑張らないと!』という気持になる」とメンバーの皆さんは話します。伝統、という気負いではなく、自分たちが楽しみたいからやる。自然体で伝統を守る鴇大太鼓保存会の若者たちの姿が、そこにはありました。
こちらの記事もおすすめです
鴇地域の活動
小坂町鴇(ときと)自治会の活動の歴史でユニークなのが、近隣の鳥越集落とともに行っていた「漬物コンクール」です。 各家庭で漬物用の大根を干す風景は、鴇の冬の風物詩でした。アイディアを出し合い、さまざまな漬物が...
地域活動
地域団体
道の駅こさか七滝・ハートランドマーケット
平成22(2010)年7月、「道の駅こさか七滝」が誕生しました。以前から営業している滝の茶屋「孫左衛門」を中心とし、大型トイレや休憩施設を加えて道の駅としてのオープンです。 日本の滝百選に選ばれた「七滝」を間近に見...
買う
直売所
鴇鉱山精錬所・選鉱場跡
小坂町鴇(ときと)地域の東の山中に、鉱山で栄えた「鴇鉱山精錬所・選鉱場」の跡地があります。 鴇鉱山開発は江戸時代までさかのぼります。延宝6(1678)年に発見された鴇鉱山は、当時の紀行家、菅江真澄も「十曲湖(とわ...
歴史
史跡