1000年以上前の三種町の上岩川(かみいわかわ)地域を舞台にした伝説「房住山物語(ぼうじゅうさんものがたり)」。昔、山の麓に暮らす翁が標高400mの房住山山頂で、人々に伝え聴かせたのが原型と言われています。
物語は、房住山の名の由来から始まり、天台の沙門・円静の開基、高倉の長者の寄進で賑わう僧坊、そして坂上田村麻呂の蝦夷征伐のくだりで最高潮をむかえます。11人の屈強な蝦夷が男鹿から上岩川に逃れ、その中の「長面(ながつら)3兄弟」の攻防は見どころのひとつです。翁の口伝により地域に伝えられた物語は、江戸時代には紀行家・菅江真澄により記録され、明治時代には石川理紀ノ助翁がその著作で紹介しています。
物語の他にも、房住山の地名の由来が記述されています。観光名所「扇の滝」の景観の形の記述や、陣幕についた血を洗い流した場所「幕洗い沢」のいわれまで、地名のひとつひとつのエピソードが残っています。
上岩川では房住山伝説の他にも、男たちが力自慢につかった「あねこ岩」の民話や藤原の流れをくむ公家が移り住んだなど、いにしえの文化とエピソードが色濃く残っています。2009年には三種町民の手作りミュージカル「房住山物語」も上演されました。
平成22(2010)年4月掲載
こちらの記事もおすすめです
上岩川ふるさと交流館
上岩川ふるさと交流館は、三種町の上岩川地域の活性化の拠点として、平成21(2009)年6月に空き店舗を改修してオープンしました。かつて林業が盛んだったころは、「板倉商店」というよろず屋でした。交流館のある落合地区には...
地域活動
世代間交流
あんびん餅
あんびん餅は、三種町の上岩川地域でつくられている紅白の大福餅です。蒸した米粉を水と砂糖と合わせて練り、中に甘さを控えたあんこを入れています。 昔からお祝い事や、おやつで食べられていました。砂糖が高価だった時...
食
米菓子・餅
上砂子沢(かみいさござわ)番楽
三種町の上岩川地域に伝わる上砂子沢番楽は、町の無形文化財に指定されている郷土芸能です。北秋田市阿仁(あに)の根子(ねっこ)番楽の流れを組むと言われ、テンポのよいスピーディーな武士舞で、猟師が伝え発展させたと言...
伝統行事・イベント
郷土芸能