能代市鶴形地域の北に位置する「立甲部(たちこうべ)山」。標高60mほどの小高い山で、北は米代川、南に姥壊(うばふところ)川が流れ、山中を羽州街道が通り、地域の皆さんからは「たちこうべ」の呼び名で親しまれています。
「たちこうべ」の山道入口の大ケヤキには鍾馗(しょうき)様が祀られ、すぐ側にある高岳神社の鳥居前には「物見坂」と書かれた標柱が設置されています。この場所は「物見坂」や「諸見坂」とも呼ばれ、米代川や能代市街地、白神山地の山々を見渡せる絶好のビューポイントです。江戸時代の「秋田風土記」という文書には「飛根、鶴形の間に造り坂、諸見坂二峠あり」と記されています。
物見坂の下には「渡し船」の舟着場がありました。江戸時代の鶴形地域は水陸交通の要所として栄え、多くの人々や各地の産物が集りました。地域内には舟の積み荷をチェックする役所「番所」が設置され、今も「御番所前」という地名が残っています。昭和30年代までは農作業の馬を運ぶ馬船もありました。野球の練習試合に向かう中学生も利用したと言います。渡し舟は昭和59年(1984年)に廃止されましたが、渡し船は地域の暮らしに大きな役割を果たしてきました。
平成26(2014)年5月掲載
■参考文献
『わたしたちの鶴形』(編集:鶴形小中学校教育研究グループ)
『現地説明看板』(設置:鶴形地域まちづくり協議会)
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