鹿角市三ツ矢沢地域で行われる伝統行事「おこもり」は、京都から分社したと言われる「平野神社」で行われます。身を清め神社で一晩を過ごすのですが、その間の料理として特別なお餅や精進料理を食べます。
平成24(2012)年に行われた「伝説の里かづの体感泊覧会でんぱく」では、「おこもり」料理の再現として三ツ矢沢地域の女性たちが腕によりを掛けた精進料理が振る舞われました。
そのままの再現ではなくアレンジを施し、より美味しく現代風な味になった料理の数々は参加者に大好評でした。例えば、そばの入った「そばいなり」は、そばの代わりに糸カボチャを使用してドレッシングで味付けをしたさっぱり風味に。山菜「ミズ」のむかご「ミズの玉」もマヨネーズで和えて洋風な味付けになっています。定番の煮物におひたし、さらにはおにぎりやたくさんの漬物まで、肉や魚を一切使っていないことを忘れさせるほど豪華、バリエーション豊かなものでした。
また、汁物は鹿角地方の伝統料理「豆腐汁」です。細長く切った豆腐が醤油仕立ての汁に浮かび、「とろろ」と「からし」をかけていただきます。優しい味にぴりっとしたからしが味を引き立てて良いアクセントになります。
そして、でんぱくの参加者が平野神社で体験した「しとぎ餅」。生のままのうるち米を水と一緒に臼で突き、小判ほどの大きさにして神社の囲炉裏へ持っていくのですが、なんとそのまま灰の中に入れてしまいます。昔は夜食として食べました。
参加者には、網を使って焼いたものが試食として出されましたが、餅と言うよりは堅いせんべいの様な食感で、香ばしい香りがたまらないもの。地域のお母さんたちの工夫が詰まった料理は、「でんぱく」という舞台で新たな命を吹き込まれました。
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