秋田県の北秋田市や上小阿仁村では、大晦日や正月に「かすべなます」という郷土料理を食べる風習があります。「かすべ」とはガンギエイというエイのことです。

  作り方は、茹でてから擂り鉢ですり下ろしたかすべの肝をお酢、砂糖、味噌などで味つけしてタレ状にします。そのタレに、茹でて小さく切ったかすべの身とネギや大根おろしを加えて和え、しっかりと味を染み込ませます。酢味噌の甘酸っぱさにエイのコリコリした食感が独特な味わいを出します。

 昔、かすべが出回る冬場に、かすべを「ソリ」のように引きながら雪道を歩いたそうです。かすべなますは「おふくろの味」として、今も北秋田市上小様地域で、年の暮れからお正月にかけて食べられています。

平成24(2012)年5月掲載
 
【関連リンク】産地直送ブログ
上小様地域の「馬道払い(うまみちばらい)」と「かすべなます」(2015年7月掲載)

こちらの記事もおすすめです

なんこ鍋

   かつて日本一の鉱山の町として栄えてきた北秋田市。 その昔、阿仁鉱山のひとつである三枚鉱山で働いていた鉱夫が、粉塵を吸い込んで起こす“よろけ”(珪肺症)に苦しめられ動けなくなってしまいました。そのとき放牧されてい...

郷土料理

芭蕉句碑

 江戸時代の阿仁町は、文化が盛んに流入する地理的環境に恵まれていました。「五城目街道」を経て秋田文化が、「高陣街道」からは比内文化が入ってきます。阿仁の銅を運搬する「阿仁川」経由で能代文化、そして「大覚野街道」...

歴史

史跡

小様酒和会(こざましゅわかい)の活動

  今から40年以上前、北秋田市上小様地域にはお盆の行事が何もありませんでした。当時、10人ほどの若者が集まり、「お盆に皆で集まり酒を飲もう」という声かけの下、青年会を結成しました。青年会として10年近く活動した後、名...

地域活動

地域団体