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語りを聞く

常盤の風景を写し続ける小林甚一さん

画像:常盤の風景を写し続ける小林甚一さん

 能代市の常盤地域に住む小林甚一さんは、毎朝5時の散歩を日課にしています。カメラを持ち歩き、心惹かれる場面に出会うと、シャッターを切ります。常盤地域センターに設置された看板には、カモシカ、ヤマドリ、大柄の滝、常盤渓谷と、小林さんが撮影した美しい常盤地域の写真が使用されています。子供がそのまま大人になったかのような無邪気な笑顔で、小林さんはいつも迎えてくれます。

 常盤で生まれ育った小林さんは、高校卒業後、地元の森林組合に就職し、造林事業を担当しました。毎日、山に入っては、地域をくまなく歩き廻ったといいます。この経験が小林さんの大きな財産になりましたが、当時の記憶は楽しいだけではなかったそうです。「休日になると、同級生は能代市街に遊びに行くのに、私は仕事で、“逆”の方向に行かなきゃいけないんです」。逆とは常盤の北にあたる大柄方面。賑やかな繁華街で休日を楽しむ同級生に対し、静かな山林や田園風景を歩く自分の姿は寂しかったそうです。

 しかし、造林の仕事を続けたことで、かけがえのない財産を手にいれました。常盤の人に「地域を一番知っている人は?」と聞けば、小林さんの名前が返ってきます。地域を歩き続けた経験が、多くの人々と出会い、地域の自然や歴史と触れあってきました。「お金は使えば無くなってしまう。でも人と人とのつながりは、一生消えることはありません」と、今では、自身の財産を誇らしく思っています。

 小林さんの夢は、人々が人生の記念に、気軽に植樹できる「常盤の森」を作ること。子供たちに植樹を指導しながら、常盤の風景と一緒に人々の姿をカメラに収めます。地域の人と常盤地域の自然を残すことが、何よりの楽しみになっています。

平成23(2011)年4月掲載
令和3(2021)年12月更新

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