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語りを聞く

NPO法人常盤ときめき隊 理事長 小林甚一さん

画像:NPO法人常盤ときめき隊 理事長 小林甚一さん


毎朝5時の散歩を日課にしている小林甚一さん。

カメラを持ち歩き、心惹かれる場面に出会うと、甚一さんはシャッターを切ります。常盤小中学校に設置された看板には、カモシカ、ヤマドリ、大柄の滝、常盤渓谷……甚一さんが撮影した美しい常盤地域の写真が使用されています。帽子からはみ出した真っ白な髪の毛は、芸術家のような印象も受けますが、子供がそのまま大人になったかのような無邪気な笑顔で、甚一さんはいつも迎えてくれます。

常盤地域で行われるイベントに行けば、必ずと言ってよいほど甚一さんの姿を見かけることができます。地元農家を中心に組織された「NPO法人常盤ときめき隊」の理事長を務める甚一さん。常盤小中学校には、甚一さんが撮影した常盤の風景が廊下に並び、「甚一さんは、しょっちゅう学校にくるよ」という常盤小中学校の校長先生のコメントからも、常盤地域を歩きつくしている甚一さんの姿が浮かびあがってきます。

 常盤地域で生まれ育った甚一さんは、高校卒業後地元の森林組合に就職し、造林事業を担当しました。毎日、山に入っては、常盤地域をくまなく歩き廻ったといいます。この経験が大きな財産になったと話す甚一さんですが、当時の記憶は楽しいだけではなかったそうです。「休日になると、同級生は能代市街に遊びに行くのに、私は仕事で、“逆”の方向に行かなきゃいけないんです」。“逆”とは常盤地域の北にあたる大柄方面。賑やかな繁華街で休日を楽しむ同級生に対し、静かな山林や田園風景を歩く自分の姿は寂しかったと話します。
 
しかし、造林の仕事を続けたことで甚一さんは、かけがえのない財産を手にいれました。常盤地域の人々に「地域を一番知っている人は?」と聞けば、甚一さんの名前が返ってきます。歩き続けたことで、甚一さんは、多くの人々と出会い、また常盤地域の自然や歴史と触れあってきました。「お金は使えば無くなってしまう。でも人と人とのつながりは、一生消えることはありません」と、自身の財産を誇らしく思っています。
 
甚一さんの夢は、人々が人生の記念に、気軽に植樹できる「常盤の森」を作ることだそうです。常盤小中学校の生徒たちと、植樹や炭焼き体験の指導もしている甚一さんは、必ず常盤地域の風景と一緒に人々の姿をカメラに収めます。地域の人々とともに美しい常盤地域の自然を映像で残すことが、何よりも甚一さんの楽しみなのです。
2011年4月掲載

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