11月11日(月)、岩手県盛岡市の玉山薮川地区の皆さんが、
横手市の狙半内(さるはんない)地域を訪れ、
狙半内共助運営体の雪下ろし、買い物支援、住民送迎サービス(通称:ミニバン運行)の取組に熱心に耳を傾けました!
平成24年に設立された狙半内共助運営体の活動は、コロナ禍前からも注目されていて、
年々、視察の申し込みが増えているそうです。




今回の視察は、秋田県南NPOセンターさんが窓口となって実現しました!
最初に県南NPOの八嶋さんが、横手市の共助組織の成り立ちや活動を説明してくれました。

豪雪地帯で知られる横手市では、平成24年、狙半内、保呂羽、南郷、三又の4地区で共助組織が設立され
「横手モデル」として住民による雪下ろし活動が注目されてきました。
秋田県南NPOセンターさんは、この時の設立支援に携わっていて、
今回のような視察受け入れにも協力してくれるそうです。心強いですね(^^)




狙半内共助運営体の奥山会長が、これまでの狙半内の活動を説明してくださいました。
「どこにでも生活課題があり、いままで出来たことが出来なくなってくる」と話す奥山さん。
狙半内地域では、平成24年の住民座談会をきっかけに共助組織をつくり、雪下ろしや買い物支援の活動をスタートしました。


●共助運営体による雪下ろし、除排雪支援


積雪が2~3m近くになる豪雪地帯の狙半内地域。
豪雪の年は、業者に雪下ろしを依頼しても2週間待ち……なんてことも。
共助組織を立ち上げてから、一人暮らしの高齢者宅を中心に雪おろし活動を行っています。


 

上の写真は、狙半内の一番奥に位置する滝ノ下集落へ続く道です。
冬は積雪で道幅も狭くなり、バスが通っていないため、滝ノ下集落で車を持たない住民の方は、
2~3㎞離れた、お隣の上畑集落のバス停まで歩いていたそうです。
バス停に到着するまでに道端で座り込んで風邪をひいてしまう人もおり、
通院、買い物に困る方が出始めていました。


●(株)マルシメの無料シャトルバスの運行
  

そこで、平成25年、横手市でスーパーモールラッキーを運営する(株)マルシメと共助運営体で協定を結び、
毎週金曜、狙半内とラッキーを結ぶ無料シャトルバスが運行されるようになりました!
上の写真は最初の運行時の様子です。住民の方に寄り添う奥山さんも写っていますね。
雪下ろしも買い物支援も、最初は社会実験として試験的に始めましたが、
住民の方から続けてほしいという声もあり、現在も続く活動の一つとなっています。


●住民による住民の送迎サービス

平成29(2011)年には、秋田県初となる、自家用有償旅客運送の実証実験をはじめました!
住民の方がドライバーとなり、交通手段がない住民の方を、病院や商店がある街中まで送迎する取組です。
狙半内では通称「ミニバン」「三平カー」と呼んでいます。
(狙半内出身の漫画家、矢口高雄さんの三平君が車体に貼られてわかりやすいですね♪)
バスが入れない狭い道にも入り、住民を自宅付近で乗せて、街中の十文字地区まで1日4往復しています。

今では、すっかり地域の足として定着しましたが、最初から順風満帆だった訳ではありません。

当初は予約制だったため、住民の方が市役所に電話をして住所氏名を話す必要がありました。
「高齢者は難しいことはできない。見知らぬ人に電話するのは敷居が高い」。
奥山さんらは市役所と話し合い、予約しなくてもいつでも乗れる定時運行にし、
「自分たちでやるから、こうしてほしい」と交渉を重ね、現在の利用しやすい形をつくってきました。



この日も、ちょうど狙半内に戻ってくる三平カーの姿が(^^)
ドライバーの皆さん、お疲れ様です。




狙半内地区交流センターには、共助運営体に贈られた表彰状が飾られていました。
令和2年には、秋田県特別表彰を受けています。





上の写真は平成29年に行われた横手市と狙半内共助運営体の契約締結式。
11月11日は、ミニバンの送迎サービスがスタートして8年目の節目でした。1回も運行を休んでいません(^^)
車中では一緒になった住民同士、会話を楽しんでいる姿が見られるそうで、
こうした姿が、奥山さんたちのやりがいにもなっています。

ミニバン運行時、利用者の体調が悪化し、ドライバーが親族に連絡したことで、ことなきを得たこともあったそうです。
「雪おろし」「買い物支援」の活動を通じて、住民とのつながりもでき、情報が密になることで、
ミニバンの送迎サービスにも活かされているそうです。

狙半内の活動に、県内外から多くの団体が視察に訪れてきました。
これからもミニバンの三平カーが、住民の皆さんの笑顔を運んでくれますように。
狙半内地域からお届けしました!