元気ムラの「ハレの日」の料理を紹介するシリーズ、
第二弾は、横手市保呂羽(ほろわ)地域の「三杯みそ」です。


●「三杯みそ」とは
秋田の県南部でよく見られる、小豆色が特徴的なお菓子です。
3つの材料(餅米粉、うるち米粉、こしあん)を混ぜ合わせることから
「三杯みそ」と呼ばれるようになったと言われ、「三杯もち」と呼ぶところも♪
保呂羽地域では、冠婚葬祭や田植えなど、
人が集まる特別な行事の時に「おやつ」として食べられてきました。

●「お茶っこ」にも登場する小豆入りのお菓子
 
上の写真は、2019年に保呂羽地域で行われた門松づくり講習会の一コマ。
休憩時間に住民の皆さんが持ち寄って食べているお菓子の中に、
小豆入りの「三杯みそ」がありました♪

●保呂羽地域で「三杯みそ」づくり

8月上旬、保呂羽地域のお母さんたちに「三杯みそ」を作っていただきました!

材料は「餅米粉」「うるち米粉」「小豆(こしあん)」「砂糖」「塩」「水」のみ。
小豆入りの生地と、白(こしあん抜き)の生地をそれぞれ作ります。

 

作り方を教えてくれたのは、守屋法子さん。
守屋さんは、お姑さんから作り方を教わったそうです。

厚手の専用フライパンにクッキングシートを敷き、トロトロの材料を流し込みます。
生地は鍋でふかして作るのが一般的だそうですが、
できあがるまで時間がかかるため、作業を簡略化して時短の工夫をしています。
きれいな小豆色ですね♪
15分ほどかけて、弱火でじっくり焼きます。

 
ふっくらと片面が焼きあがりました。
少し蒸してから裏返し、両面に焼き目を付ければ、小豆入りの生地が完成!

 
続いて、もう1枚。
こちらは「こしあん」を入れない「白」の生地。
2枚の生地が焼きあがったら……


重ねて巻いていきます。

守屋さんが「ほら、きれいに焼けた。巻いてみようか」とアドバイスしながら、
保呂羽地域のお母さんたちもチャレンジ♪

「あつあつ!」「ちょっと、やっけえかな?」「まだ、熱いね~」

丸めた生地を巻きすに載せて、ぐるっと巻き、形を固めれば……


完成!!!!!
きれいな渦巻き模様が出来上がりました♪
仲間うちで食べるときは、模様をつけない小豆色一色の「三杯みそ」が多いのですが、
お客さんに渡す「振る舞い用」なので、模様をつけて、ひと手間を加えています。

ちなみに、同じ保呂羽の坂部集落では、ごまやかぼちゃで色付けする家庭も。
この辺りも、各家庭の味が出ていますね。

 

守屋さんのお話しでは、「三杯みそ」は、農家のごちそうでした。
農作業は力仕事なので、腹持ちのいい料理が重宝されます。
材料は買わずに「家にある物」を使うのが基本。
季節や行事に応じて、羊羹や豆腐カステラなどを作り、振る舞ったそうです。
もてなしの料理は「買う」ものではなく、「作る」ものだったんですね。


今回、守屋さんと一緒に作ってくれた保呂羽地域の平元さんと菊地さんは、

「自分の母親の世代は、みんな作っていたけど、自分の世代になると、
仕事をする人が増えて多忙になり、作る機会が無くなってしまいました」。
「手間のかかるイメージがあったけど、作り方も改良されていて、
手軽に作れるんだと分かりました」とのこと。
これからも地域の味が受け継がれていくといいですね。

横手市保呂羽地域の「三杯みそ」、いかがでしたか?
次回は、仙北市田沢地域の「ゆべし」と「けいらん」をご紹介します(^^♪

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