江戸時代後期、横手市の亀田地域に「真人へぐり(“えぐられている”という意味)」という真人(まと)山の難所がありました。当時の真人へぐりは、あまりにも道が細く、通行する旅人が何人も命を落とす交通の難所でした。
世のため人のため何かしたいと考えていた桶職人・沼沢久蔵(生年不詳~安永5年(1776年)は誰の援助も受けず1人で「のみ」と「たがね」を手に岩山を掘り続け、6年後600mの岩山をえぐり幅2mほどの道路を通しました。
開通の成功を願い、神への願掛けを行っていた久蔵でしたが、お礼のお酒を用意できませんでした。神への謝罪のため、久蔵は半助村集落の一本杉の根本に穴を掘り、その場所で約40日間食を絶って死去したと伝えられています。この場所が墓所となりました。
当時の村人が供えたお地蔵様と、墓所の目印に植えた大杉が、今も亀田地域の半助村集落に残っています。久蔵については、旧亀田小学校の児童たちにより演劇で演じられたり、有志により真人公園の観桜会に合わせ読経を行う「久蔵まつり」が行われたりしました。我が身を省みずに尽くし邁進した地域の偉人として今も長く語り継がれています。
■久蔵ゆかりの地
・久蔵碑(真人へぐり開通後、自ら刻んだ石碑)
国道342号線・真人橋から徒歩約3分。
真人公園内からも歩いてアクセスできます。
公園内からは徒歩約10分。案内看板に従ってください。
・久蔵の墓所(大杉)
横手市増田町亀田半助村(広域農道「雄平フルーツライン」沿い)。
亀田地域センターから徒歩約5分。
場所は亀田地域イラストマップでご確認ください。
平成25(2013)年8月掲載
■参考文献『増田町郷土史』
『増田町史』
『増田町史』
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