男鹿市女川(おんなかわ)地域には、旧暦5月4日、小中学生の男子が家々を練り歩いて邪気払いをする「女川の菖蒲たたき行事」が受け継がれています。平成23(2011)年、男鹿市の無形民俗文化財に指定されました。
昔から、大人は口出しをせず、子供たちの自主性に任せて行事は行われます。当日の夕方になると、稲わらと菖蒲の葉でできた「たたき棒」を持った男の子たちが地蔵院に集まり、練り歩きに出発します。
男の子たちが家々の玄関先で、「若い菖蒲いいですか」「菖蒲たたきやってもいいですか」と声をかけ、住民から了承を得ると、「5月4日の若い菖蒲、ダレッチャ アタッテモ トンガラシ(ドンガナシ)」と歌い、「たたき棒」で地面を叩きながら「それ1つ、2つ、3つ……9つ、10!」「おまけにひとつ!」と歌い、計11回、地面を叩きます。
菖蒲たたきはの歌は「菖蒲たたきは誰に当たっても咎めなし」という意味で、「咎めなし」が訛って「ドンガナシ」に、子供が歌いやすいように「トンガラシ」になったとも考えられており、時代とともに、歌詞は少しずつ変化してきました。
たたき棒を地面に叩きつけることで、その家の邪気や厄を払うとともに、縁起を呼び込むと考えられています。行事が終了した後、住民からもらったご祝儀を、子供たちだけで分配するのも、行事の楽しみのひとつとなっています。
令和2(2020)年3月掲載
こちらの記事もおすすめです
鵜ノ崎海岸
男鹿市女川(おんなかわ)地域には「日本の渚百選」に選ばれている海岸、「鵜ノ崎海岸」があります。 広く浅い海岸なので子供たちが遊びやすく、夏にはキャンプを楽しむ家族連れやグループでにぎわいます。 鵜ノ崎海岸は、約1...
自然・施設
ビューポイント
男鹿の伝統食「エゴ」
「エゴ」は海藻のエゴ草を使った男鹿を代表する伝統食です。 春先に海岸で採れるエゴ草を丁寧に洗って不純物を取り除き、ミキサーなどでとろとろになるまで溶かして水と一緒に煮込み、容器に流し込んで固めればエゴの出来上が...
食
郷土料理
男鹿キッチ漕ぎ大会
男鹿市女川(おんなかわ)地域では、青年会「二八(にっぱち)会」が主催する「男鹿キッチ漕ぎ大会」が、8月14日に開催されています。 「キッチ」とは、アイヌ語で一本の丸太を掘って作った小さい船のことで、女川では海藻や...
伝統行事・イベント
イベント