-せせらぎの水は上流から-
秋田市の鵜養(うやしない)地域で「これはどの地域にも負けない!」というのが「水」です。山々からあふれ出る清冽な水を一番はじめに使うことができるのが鵜養の人々です。現在も農業用水として大事な水ですが、かつては、この水を飲み、そして炊事にも使ってきた大切な、そして誇るべき水です。
鵜養を流れる豊富な水量を誇る堰は、地域の方々のはるか昔からの努力によって守られてきました。
「せきぶし(堰普請)」と呼ばれる堰の清掃作業は、毎年行われる町内会総出の仕事です。毎年の仕事ながら、幅の広い側溝の清掃は大変な作業です。
それでも、数百年という伝統を持つ水路の整備は、住民にとっては大事な作業なのです。
かつて、秋田市との合併前は河辺町だった鵜養地域のキャッチフレーズは「せせらぎの町」です。そのせせらぎの源流にほど近い鵜養地域では「せせらぎの水は上流から」を合言葉に、堰の清掃のみならず、普段の使用でも水を汚さないように細心の注意を払ってせせらぎを守ってきました。
伝統が色濃く残る鵜養では、「朝仕事」もきちんと行われています。
朝食前の午前5時ごろから7時ごろまで、集落入り口の道路の草刈りやクリーンアップを行います。自分たちの手によって地域を守り、より良くしていく活動が今でも大切に残されています。
地域の方々にとって、大切な「場所」はどこかと聞くと、真っ先に帰ってくる答えが「家の前の堰」です。岨谷峡にある殿淵(とのぶち)や伏伸(ふのし)の滝などよりも、身近でずっと守ってきた堰こそが誇りなんだそうです。
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