画像:きゃの汁

 きゃの汁は秋田県内の各地に伝わる正月料理です。
かつて女性にとって正月はたいへん忙しいもので、料理をこしらえる余裕がありませんでした。そのため、きゃの汁を大きな鍋に作っておき、正月中は、いつでも食べられるようにしておきました。そのつど小鍋に取り、囲炉裏で温めていたそうです。

 主な具材はすり潰した豆、塩漬けした山菜、きのこ、大根、にんじん、じゃがいも、こんにゃく、豆腐、油揚げなど。入れる食材は各家庭で違いますが、最低でも5種類、多くて10数種類、とにかく具だくさんなことが特徴です。

さいの目に切られた具材は大変食べやすく、噛まずに飲み込めるほどです。それに日が経つほど汁の味が染み込むため、毎日飽きずに食べられます。
これで女性は一息ついて、正月の慌ただしさから解放されていたのでしょう。
 
平成22(2010)年4月掲載

こちらの記事もおすすめです

ナッツ

 北秋田市の根子地域を代表する伝統料理です。昔は各家庭のナッツを持ち寄って、味比べを楽しんでいたといいます。    具はきのこ、しその実、みずのこぶ、塩漬けしたきゅうり、それにピリっと辛い南蛮としょうが。それらを...

郷土料理

宝引き(ほうびき)遊び

 北秋田市根子(ねっこ)地域に伝わる「宝引き(ほうびき)」遊びは、ひもくじの一種です。1.5mほどのひもの先に「どっぷ」が結わえられたものを引き当てれば一勝です。「どっぷ」とはアタリのことで、5円玉の穴を通して数十枚...

歴史

文化

根子の歴史

 北秋田市根子地域には、“隠れ里”の趣があります。四方を里山に囲まれたすり鉢状の地形と、その底に民家が寄り添っている様子は、まるで人目を避けているかのようです。  集落では、源義経の家臣・佐藤継信が逃れて拓いたと...

歴史

地域の歴史