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秋田県若手アーティスト育成支援事業vol.3          五月女かおる展 the POOL

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秋田県では、県内を拠点に活動するアーティストの活動支援を目的として、希望者にアトリオンB1Fイベント広場や2F美術展示ホールを制作発表やパフォーマンスの場として開放する「若手アーティスト育成支援事業」を実施しています。今年度は(一社)秋田県芸術文化協会主催の「秋田県若手アーティスト育成支援事業+(プラス)」と協働して、10名の若手アーティストによる8回の展覧会を開催いたします。
 第三弾は秋田公立美術大学4年生、宇都宮市出身の五月女(そうとめ)かおるさんです。今年、かみこあにプロジェクトに大きな犬の彫刻を出品し注目されました。展覧会では視点を変えて制作されたプールのオブジェと犬の彫刻が混在する異空間を御覧いただきます。
 若手アーティスト育成援事業ではアートイベントの企画者を養成するため、ディレクター・キュレーター部門(アシスタント)、展覧会の受付などを手伝うアートサポーター部門(アートサポーター)を設けています。アーティスト、アシスタント、アートサポーターの三者が協力して事業を展開いたします。


 

パースペクティブの罠
藤田嗣治の油彩画「オペラ座の夢」を調査したときのことだ。絵の裏側、木枠部分に何やら落書きのような小さな絵を見つけた。よく見るとそれはおかっぱに丸メガネ、間違いなく藤田の顔だった。他に「窓」
と「→」そして「l'Opéra」(オペラ座)の文字が書いてある。私はピンときた。おそらくこれは表の絵のために窓の外の風景を見る角度、パースペクティブのメモに他ならない。
五月女かおるの様々な四角形による「プール」はまさにパースペクティブを示している。透視図法の知識がなくても、距離感、周回の角度、仰角が形状から認識できるだろう。プールは動かしようがない。形状の変化を見るためにはあたりを歩き回るしかない。五月女の視座は作品の数だけプール上の空間に点在していたわけだ。
しかし、床や壁に混然と作品を設置した空間では奇妙なことが起きている。一つのプールが、マルチビジョンに映されるように鑑賞者の視界を覆う。単眼による画像が複眼でみたように多角化し、空間に点在した視座は逆転して一つに収束される。つまり、作品を追う目は縦横無尽に空間を駆け回っていることになるのだ。
20世紀初頭に誕生したキュビスムは作品上に複数の視座からの画像を融合したものだった。五月女のパースペクティブの転換はこれに似て非なる。作品を展示した空間に視座を集約しているといえるだろう。もしかしたら、私たちはギャラリーに踏み入った瞬間に、五月女が周到に仕組んだイリュージョンにとらえられるのかも知れない。                山本丈志(美術史家・秋田県文化振興課) 

平成30年度秋田県若手アーティスト育成支援事業vol.3 五月女かおる展 the POOL
会期 2018年12月12日(水)~16日(日) 10:00~17:00
会場 アトリオン2F美術展示ホール

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開催地 秋田市
ジャンル 美術 

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