田代岳(1178m)は田代地域の北端、青森、秋田の県境近くに位置する休火山で、白神山地に属する。

雷岳(1128m)、鳥帽子岳(1133m)、茶臼岳(1086m)の三山と連峰を形成している。

田代岳を中心とする山岳及び山麓、早口沢・岩瀬沢両沢の大川目渓流一帯の1855haは、1975年(昭和50年)1月11日に県立自然公園に指定された。

9合目付近では高層湿原が形成され120個以上の池塘が散在し、また多くの高山植物が咲き誇ることから雲上のアラスカ庭園と呼ばれ、多くの登山客に親しまれている。

山頂からの眺めは、登山の疲れを忘れさせるほどの見事な景観である。

田代岳は、古くから水田信仰の山である。山頂にある田代山神社には五穀豊穣の神「白髭直日神」が祀られ、毎年半夏生の日(7月2日頃)には例祭が催される。例祭の祭事として行われる「作占い」では、池塘を神の田とし、そこに自生するミツガシワやミネハリイを稲に見立てて、その生育具合や池塘の水の張り具合などからその年の稲作の豊凶を占う。同時に行われる「サンゴうち」と呼ばれる神事では、早生・中手・晩生を表す3枚の5円玉に和紙のこよりを通して作った長さ20cmのペンダントを池塘に投げ込み、その沈み方から作況を占う。

昔は、9合目から山頂までに生えている細い木を折り小さく束ねて持ち帰り、束のまま神棚に供えて豊作を祈ったとされる。水田の水口に入れると虫除けになったとも言われる。この木の束は、山に登らなかった人への土産として喜ばれたとか。

田代岳登山ルートは、山瀬ダム(岩瀬沢)方面に「大広手コース」「荒沢コース」、早口ダム(早口沢)方面に「薄市コース」「縦走コース(現在登山道崩落の為通行不能)」「上荒沢コース(現在アクセス林道崩落の為通行不能)」の5つのコースがある。

各登山コースは、それぞれ特徴があり登山口までの道路状況も異なる。

その年により若干異なるが、降雪は11月中旬から、残雪は5月中旬頃まで見られる。

登山口のトイレ、登山道に設置している木橋は、例年11月末で閉鎖、撤去する。
国道から登山口までは約1時間。