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風土を楽しむ

葛黒の火祭りかまくら

画像:葛黒の火祭りかまくら

 「葛黒の火祭りかまくら」は2月中旬、七日市地域の葛黒集落で行われる小正月行事で、約250年前、江戸時代の宝暦年間(1751年~1763年)から始まったと言い伝えられています。集落の山から切り出した若木(栗、ナラ)に稲藁や豆殻を巻き付けてご神木として立ち上げ、夜に点火。燃えさかるご神木に向かって「おーい、かまくらの権五郎(ごんごろう)」と叫びながら、五穀豊穣、無病息災、村内安全を祈願する一風変わったお祭りです。

もともとは子供たちが主役の行事でした。子供たちは集落の各家々をまわり、ご神木に飾り付ける稲藁や豆殻などを集めてまわったと言います。ご神木となる若木は大枝を残して、竹笹、稲藁、豆殻、山うつぎ、藤ツル、杉などを巻き付けます。稲藁は「稲作」、豆殻は「畑作」を代表して五穀豊穣を祈願すると考えられ、竹笹や山うつぎは点火した時に爆竹のような派手な音を出すために飾り付けているそうです。

火祭りかまくらは、コンバインの普及に伴い、祭りに使用する稲藁の確保が難しくなり平成11年(1999年)を最後に途絶えていました。しかし、平成26年(2014年)、七日市地域の有志でつくる「おさるべ元気くらぶ」が葛黒集落に行事の復活を働きかけたことをきっかけに、葛黒集落が中心となり、周辺集落や鷹巣南小学校、首都圏で暮らす集落出身者や観光客の協力のもと、15年ぶりに復活しました。

最大の見どころは、ご神木の立ち上げ作業。高さ12m、重さ3トンを超える大木を200人がかりで約1時間かけて人力で立ち上げます。日が暮れた18時過ぎ、立ち上げたご神木に火をつけると、派手な音をあげながら、あっという間にご神木は火柱となります。この時、子供たちがご神木に向かい「おーい!かまくらの権五郎~!」と叫ぶのが行事のハイライトです。子供たちは十数回におよび「権五郎!」と叫び続けます。

「権五郎」については諸説が伝えられています。葛黒集落では集落に住み着いた荒くれ者の権五郎を懲らしめるため、大木を権五郎に見立てて火をつけたところ、心を入れ替えたと言い伝えられています。また、平安末期に活躍した「鎌倉権五郎景政」を指すという説もあります。「奥州後三年記」に登場する鎌倉権五郎は、右目を射られながら奮闘した侍で、武勇の人の名を叫ぶことにより、悪霊を祓う目的があると考えられているようです。

葛黒の火祭りかまくらは、集落内のお祭りですが、観光客も参加できる点が特徴です。一緒に立ち上げ作業に関わることで、観光客は祭りを身近に感じ、参加気分を存分に楽しむことができます。葛黒の火祭りかまくらは、祭りを実施する人と見に来た人々が、共に楽しめる要素を持ち合わせた小正月行事です。
2015年3月31日掲載

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