7月19日(日曜日)、湯沢市雄勝地域の小野地区南東に位置する、御返事(おっぺち)集落で、一年に一度の行事、鹿島様の作り替えが行われました!


 鹿島様は稲わらで作られた「道祖神」。秋田県内でも「鹿嶋様」「鍾馗(しょうき)様」「ニンギョ様」と、さまざまな名称で呼ばれ、各地に伝わっています。湯沢市では、岩崎地区の鹿島様が著名ですが、ここ小野地区のおっぺち町内会でも長い間、住民たちが鹿島まつりを行ってきています!

  この日は朝早くから、住民の方々が、まずは昨年制作した「鹿島様」の解体を行ったそうです。解体された鹿島様のわらは、夜のまつり本番の最後で焼却されます。
    



 こちらは集落内にある鹿島庵!数年前までは、当番方の家の倉庫で鹿島様作りをしていたそうですが、地元出身の方が専用の小屋を建設してくれたとか。


 取材班が到着すると、鹿島様のパーツ作り作業の真っ最中でした。住民の方々は暑さをいとも感じさせない様子で、もくもくと手を動かしていました。


 鹿島様の作り替えには大量の稲わらを要します。おっぺち町内会では、住民の方に鹿島様専用の稲栽培をお願いしているそうです。稲刈り時には皆さんで協力して手刈りするそうですよ。

     
    パーツ作りの前に、稲わらの「しべ(わらの芯、屑)」を取り除き、横槌(ヨコヅチ)でわら打ちし、稲わらを柔らかくする必要があります。

       
 こちらは、頭と胴になる部分を編んでいるところです。上の写真の「俵編み器械」は、今では貴重な道具になっています。その昔、こちらの集落では、農閑期(冬期間)に、わら細工をするのが仕事だったため、どこの家庭にも必ず1台はあったとか。今でもこうして残っているものがあるそうですよ。


 時間がかかる工程も、この編み機のおかげで時短になり、あっという間に胴体部分が完成しました。


 さん俵(円形の藁ぶた)は、おへそや雄っぱいになるパーツですが、土台の円に合わせて編んでいくのが一苦労とか!1年に1回しか編まないと話していましたが、慣れた様子でてきぱきとこなす住民。

 ここからは、ギャラリー集でご覧ください。

手、足の指づくり(二人がかりの力が必要!)

手指、足指の完成品

鹿島様が持つポーチ作り

ポーチ完成品(かわいい!)

わらじ作り

わらじ完成品(一足分)


       
 このほかにも、鹿島様のツノや、しめ縄など、作るパーツは山ほどありました!



 わらは軽いので、中で扇風機を回すこともできない環境の中、熱中症になっては大変!きちんと休憩時間を設けます。それぞれ、世間話に花が咲いていましたよ。


 取材班は、その休憩時間中に、オニヤンマの産卵シーンに出くわしました。今ではオニヤンマは、都市部ではなかなか見ることができない貴重なトンボ!オニヤンマに出会えただけでもラッキーと思っていたら、産卵シーンを見物できるとは。貴重な体験になりました。
 
    


 休憩時間の後、1時間ほど作業をして、パーツはほぼ完成しました!鹿島様の骨組みを始め、完成したパーツが骨組みに取り付けられていきます。ここでも高度な技が披露されました。お昼でいったん休憩に入り、午後から作業を開始します。「御返事の鹿島様」は、丸一日がかりの行事なのですね。
   
 「俺らは1年に1回しか、鹿島作りをしないから、1年前のことは忘れていて、案外、適当なんなもんだよ。」と住民たちは口々に漏らしていましたが、皆さんのわらを編み、組んでいく工程を見ていると、とてもそうとは思えなかったです。おそらくは、きちんと伝承され、受け継がれてきているものだと感じてきました。
 


 そして、祭り本番、夜の部を迎えました。ここからが年に1回、大いに盛り上がるシーン!鹿島様とともに集落の練り歩きです。ここからは、湯沢市集落支援員、本村さんの提供写真でお届けします!ギャラリー集でお楽しみください!

 
    
 完成した「鹿島様」は、お神酒やお供物が供えられ、集落の中心部にある庚申塔(二十三夜塔)前から出発します。

      

集落を1軒1軒回り、悪霊払いをします。(写真の様子で分かるように奇祭と言われています。)

 

練り歩きの最後に新たな鹿島様が櫓(やぐら)に設置されました。




最後に朝に解体した鹿島様を燃やして祭りが終了。

 おっぺち町内会の高橋会長は、「子どもがたくさんいた頃は、鹿島様といっしょに練り歩きをして、それはにぎやかなものだった。今はこの集落に小学生は一人しかいない。担い手も高齢者が多く、不足してきている。来年やれるか、再来年どうなるのかのは分からない話。1年1年、その時の状況に応じて祭りを続けることができたらいいと思っている。この日は住民がどんちゃん騒ぎをして、最高に盛り上がる一日だから。」と話していました。

 伝統行事を変わらぬ形で続けていくことは難しいかもしれませんが、鹿島様作りは、おっぺちの住民の皆さんが顔を合わせる貴重な場でもあります。変わりながら、工夫しながら、地域の楽しい思い出をつないでいってほしいと感じました。

 以上、湯沢市小野地区のおっぺち集落からお届けしました!

(おまけ)

 「鹿島様」前から望む小野地区。稲は順調に育っているようです。遠くに見えるのが、東鳥海山!地域のシンボルとして親しまれています。


 集落の道沿いに、今が見ごろとばかりに咲いていた「がくあじさい」。とってもきれいでした。