写真:銀山おどりと見学者
 9月21日(日曜日)、湯沢市院内地区で院内銀山を偲ぶ「院内銀山まつり」が開催されました。院内銀山史跡保存顕彰会(以下「顕彰会」)の主催です。
9月21日は、明治天皇が当時、東洋一とされた院内銀山を訪問された日ということで、この日は「全国鉱山記念日」となっています。それにちなんで顕彰会では毎年、この日に供養祭を行っています。来年は、顕彰会発足から節目の50周年ということです。昨年は豪雨災害があり、中止された「院内銀山まつり」ですが、2年ぶりの再開となりました!

写真:院内銀山入口     写真:院内銀山跡地看板

写真:院内銀山跡地
 国道108号から院内銀山史跡入口に入ると、いきなり空気が変わったような錯覚に陥りました。厳粛な雰囲気のなか、狭い林道を通り三番共葬墓地へ向かいます。

 午前10時、のろしの合図とともに三番共葬墓地での供養祭が始まりました。
写真:号砲放つ     写真:三番供葬墓地前の仏像

写真:焼香する住民     写真:焼香する住民


写真:供養祭の様子

写真:供養祭の様子
 鉱山関係者が眠る共葬墓地では仏像の前に祭壇が設けられ、参加者一人一人が焼香を行いました。

写真:共葬墓地に建立するお墓
 ここには、古くは400年以上前(江戸時代)から建立すると言われている墓石が約500基あるそうです。その墓石がある場所は、放っておけば、草むらと化してしまうようなところですが、顕彰会の皆さんで、こまめに草刈りをしているそうです。最近は会員も皆、高齢化してきて容易でなくなってきているようですが、この歴史ある院内銀山跡を何とかきれいに残していきたいと、顕彰会の皆さんはがんばっているそうですよ。

写真:お墓に供えられている花
 この日も、一つ一つの墓碑の前に真新しい花が供えられていました!この墓碑の子孫たちは、お盆になると各地から先祖供養に訪れるそうです。

写真:院内銀山跡地林道    写真:史跡案内看板

写真:金山神社全貌
 ここからさらに山道を進み、初代院内銀山主任として国から派遣された福島晩郎氏の頌徳碑跡を過ぎると、県指定史跡である金山神社が現れます。


写真:五番坑入口付近     写真:神社参拝するツァー客

写真:御幸坑
「御幸坑(五番坑)」入口 明治天皇が巡幸の際、入坑


写真:移動するツァー客
 また、この「院内銀山まつり」に合わせて、秋田市のクリプトン森の学校主催のツアーで、市外から約50名の団体客も訪れていましたよ。院内銀山入口から順序よく進まれていて、私たちとは「御幸坑(五番坑)」のところで一緒になりました。御幸坑(みゆきこう)はかつて五番坑と呼ばれていましたが、明治14年9月21日、明治天皇が五番坑に入坑されたことで、随行した国の役人によって「御幸坑(みゆきこう)」と命名されたそうです。

写真:金山神社 本殿     写真:金山神社本殿 彫り物

写真:金山神社を見学するツァー客     写真:参拝するツァー客
 ツアー客は、御幸坑から狭い林道を抜け、金山神社本殿に到着。皆さん、参拝を済ませ本殿内を見学していました。
 
 この日は金山神社の例大祭が行われる日でもあり、院内地区に伝わる伝統芸能「院内銀山おどり」を奉納する場となっていました。
写真:境内に設けられたテント内
 「銀山おどり」奉納を前に、雨の中、神社境内に設けられたテント内で待機中のお母さんたち!

写真:銀山おどり奉納
 地元の子どもたちも到着し、いよいよ、踊りが披露されましたよ。
 銀山おどりは、銀山の衰退とともに50年近く途絶えていましたが、顕彰会が古老たちの協力のもと、昭和52年に復活しています。その後は、「NPO法人おがちふるさと学校」の全面的な支援により、院内地区センターにて地元の小、中学生対象に練習会を行うなど継承が行われています。

写真:銀山おどりを見るツァー客     写真:銀山おどりを見学していたツァー客
 金山神社の階段(なかどこ)は、踊りを見学しているツアー客でいっぱいになっていました。「この階段がこんなに人だかりになるのは何十年ぶりだろう!昔は祭りの日はここも人でごった返していたもんだがな。」と住民の方がつぶやいていたのが印象的でした。
銀山まつりは、このセレモニーをもって終了となりましたが、この日を迎えるために銀山顕彰会の皆さんが、ポスター制作、のぼり設置許可、奉納される銀山おどり練習会の日程や雄勝小学校との交渉、踊り手の確保にバスの手配など、することを挙げればキリがないほどの仕事を自事務局長中心に担ってきています。こうした住民の皆様の努力によって、「院内銀山まつり」は運営されてきたこと、改めて敬意を表します。

 金山神社の例大祭が終了するとツアーの皆さんは昼食をとるため、一旦、院内地区センターへ。私たち取材班もお弁当を注文していたので向かいましたよ。
写真:院内地区センター正面     写真:地区センター内

写真:販売品   写真:販売品   写真:販売品
 地区センター内では、院内地域づくり協議会の皆さんが、直売の準備をしてツアー客の皆さんを待っていました。

写真:買い物するツァー客

写真:買い物するツァー客
 昼食を済ませたツアー客たちは、直売コーナーへ!すごいにぎわいでしたよ。新鮮なものが安価で手に入るとあってか、ほぼ完売状態でした!

写真:院内地区センター2階     写真:地区センター2階

写真:地区センター2階
 院内地区センターは旧院内尋常高等小学校の建物で、湯沢市の指定有形文化財になっています。明治7年に創立され、明治37年の火災を経て、明治39年に再建された擬洋風建築です。保存のため、2階は建築当時の雰囲気を残していて、先人たちが使用したと思われる農機具などが保管されています。この日のツアー客の中にも興味がある方は熱心に見入っていました!
 ツアーの皆さんは、このあと、二つのコースに分かれて午後の部は地域の散策を行ったそうですよ。
 詳細は「元気ムラの旅11  銀山で栄えた湯沢市院内探訪」をご覧ください。

 以上、湯沢市院内地区から院内銀山まつりの様子をお届けしました!

●おまけ
写真:院内地区センター内のコスモス
 院内地区センター敷地内には、秋桜がきれいに咲き誇っていました。

写真:院内銀山
 最盛期は一つの街をなしていた院内銀山!看板をよく見ると、酒蔵や鍛冶屋に番所、大工の家や髪結いの家などが記載されており、一つの街を成していたことがうかがえます。

写真:弁当表紙    写真:ジオ弁当中身
 昼食は「ゆざわジオパーク弁当」!地元の旬の食材を使用していて、ゆざわジオパークのジオサイトを表したものになっていました。味もバッチリでしたよ。