2月21日(金)、秋田県立大学、アグリビネス学科の3年生が地域革新プロジェクトの一環で鵜養地域を調査の対象地域として、活動をしてきた報告会が開催されました!
調査の目的は、農山漁村における生業及び地域生活の活力ある将来像を提示すること。1年間活動してまとめたことを住民への報告を兼ね、交流会も行われましたよ♪


6名のチームで行ってきたこの活動ですが、3年生は就職活動の時期でもあり、大雪等の影響でこの日は3名での報告になりました。
当日の様子をお届けします!

  
今年度は、民間企業の参入による地域活性化の展開の在り方を考えることをテーマとして調査が行われ、輪読、統計演習、現地調査へと進めて行ったそうです。
はじめに、昨年7月の住民への聞き取り調査に感謝の意を述べ、調査から見えてきたものをスライドを用いて発表しましたよ!
※昨年の聞き取り時の様子はこちらから→秋田市鵜養(うやしない)地域で、秋田県立大学生がプロジェクトの現地調査を行いました!

  
統計演習で秋田県の酒造好適米の生産量は2019年頃から減少傾向にあるものの、東北の中では1位を占めていることがわかったようです。
鵜養地域は秋田市の酒造会社が無農薬酒米栽培を行っている地域でもあります。
民間企業が一般の地区に入る意義を知りたかったところも、今回のテーマの一つだったようです!

        

         
住民からの聞き取りで得た情報により、集落運営や自治会活動についても、まとめて報告されていました!
           


これにより、鵜養地域の課題も見えてきました。
学生さんの発表を聞いている住民の方々も真剣に聞きいっていましたよ(^^)


発表を終えたあとは、住民からの質問タイムです(^^)

早速、鵜養町内会の石塚会長から質問がありました。

「今回、学生さんが地域に入ってくれたことで、酒造会社の取組を地域づくりとどう関連させていくか、考えなければならないことを改めて感じました。そこで、この経験を生かしてどのようなテーマで卒論を進めていくのでしょうか?さらには、鵜養地域は今後どのようになっていくと思われますか?」と。

三浦さん】→上小阿仁村のマタギにとても興味がある。マタギについて研究を進め、狩猟免許を取る人が増えたのはなぜなのか?クマとの関連性についても調べてみて、民族文化をどのようにして残していくかについて研究したいです。鵜養地域は住民たちが自分たちでなんとかしていかなければないと気づかれているのはいいことだと思います。
菅原さん】→地域活性化についてもっと掘り下げていきたい。農産物直売所や農家レストランにとても興味があり、これがどのように地域に活力をもたらすのか学んでいきたいです。鵜養の住民は温かい人ばかり、無くなってほしくはないです。
沼本さん】→地方におけるプロスポーツの関わり方、プロスポーツがどのようにして地域の活性化につながるのか、研究していきたいです。鵜養地域は数字で見ると限界集落ではありますが、実際来てみたら活気があるように感じたし、存続の可能性があると思っています。
と、それぞれ回答されていました。

      
石塚会長は今後も鵜養地域と関りを持ってもらいたい気持ちがあり、3名ともしっかりとした考えを持っていたのには、かなり共感されていたようです。

他の方からも、こんな質問も…
「このプロジェクトはこれで終わりなの?」
こちらに関しては担当教諭である重岡教授から
「プロジェクトとしては今年度で終了ですが、学生の意思を尊重して決めることになっています。新しい展開があれば動きがあるかもしれないです。」と回答がありました。
せっかく、学生さんたちが関わりを持った地域、今後も何らかの形で住民と交流を図ってくれたら嬉しいですね。

また、住民からの質疑応答をまとめた形で、県立大の重岡教授が話されました。

「今回の調査で、酒造会社の経営はブランド戦略が成功していると言えるが、それが必ずしも地域の活性化と隣り合っているかと言えばそうではないということがわかりました。ただ、酒造会社としては経営戦略を練っていくうえで鵜養地域の存続は重要だと思っている。地域資源を利用した新しい未来型の農業集落というものを描けたら、集落をいったん出た人がまた戻ってくるとか、新しい人が入ってくるとか、そういうことを考えているのではないだろうか。酒造会社として一つの考え方は持っていると思います。
ただ、地域に民間企業が参入したことで、課題解決が順調に進んでいるところは、全国的にみても非常に少ないです。やはり地域の課題解決に際しては行政の介入が必要不可欠だと思われます。」



最後を締めたのは、地元にUターンして実家の農業の後継者として奮闘している原田結夏さん!ご自分の考えを述べられました♪
「酒造会社さんが入ってきたことで、住民の意識が変わってきたのは確かだし、無農薬酒米栽培という大変な取組をしてきて、スキルも確立できたとは思います。ただ、これにだけ頼るのではなく、別の形で鵜養地域をブランド化していきたい。お母さんたちが作る農産物を売り込んでいきたい。それに向けてすでに少しずつ動き出しています。」と力強く話されていました。そこで、学生さんに鵜養地域の魅力について質問されていました。


「集落の堰などの景観が素晴らしい。景観も素晴らしいが住民の温かさが魅力的。はっきりとした四季の移り変わり、農家民泊も検討してほしいです。」と、学生さんたちの声! 

原田さんの行動力に感化された学生さんの一人は、令和7年度、原田さんと連絡をとりあい、鵜養地域の水田で農業について原田さんから色々と学んでいくことになったようです(^^)
この先も地域に関わってくれる学生さんがいることを知り、取材班も嬉しい気持ちでいっぱいでした。

さて、報告を終えたあとは昼食をとりながらの交流会♪
          
学生さんも配膳のお手伝い♪


お母さんたち手作りの味噌汁やデザート、漬物も並んだところで皆で和気あいあいといただきました(^^♪


食後にはコーヒーをいただきながら、雑談に花が咲きましたよ♪
住民の方々は、学生さんたちとジェネレーションギャップを感じながらも、世間で流行りの話題にも触れていました(^^)
住民の皆さんは、短い時間ではありましたが、学生さんたちとの交流を満喫していました。

学生さんの発表から、酒造会社さんとの今後の関わり方についても、再確認ができた報告会になったのではないのでしょうか。
雪深い冬が終わると、また忙しい農繁期がやってきます。この日の時間は、住民にとっても学生さんにとっても貴重なものになったことと思います。

鵜養地域の皆様と学生さんたちの今後の益々のご活躍をお祈りします!
以上、秋田市鵜養地域からお届けしました♪

●おまけ
  
お母さんたちの手料理、牛乳寒天とスィートポテト♪ ほどよい甘さで美味しかったです(^^) 
秋田の冬の漬物、通称“なだづけ”! ナタで大根を切るところからこう呼ばれているそうです。


鵜養地域で原木しいたけ栽培を継承した田村夫妻のビニルハウスも、すっぽり覆われた雪に隠れていました。通常の作業に除雪作業も加わり大変そうでした。


例年より積雪が多い鵜養地域、通常は対面通行ができる車道が一車線になっていました(^-^;