横手市保呂羽(ほろわ)地域の西に位置する「坂部地区」。
金井神、上坂部、開、矢走の4集落で構成され、令和6年4月現在、40世帯が暮らしています。
この坂部で地域の見守り活動を行っているのが「坂部婦人会」です。

昨今、人口減少や高齢化などで、婦人会の存続が難しくなる地域も増えていますが、
令和5年度 平鹿地域振興局「元気なふるさと秋田づくり顕彰事業」で表彰されるなど、
地域に寄り添った活動を行っています。

今回、婦人会の代表を務める阿部美紀子さんにお話を聞かせていただきました!

 

坂部婦人会の歴史は、阿部さんのおばあさんの時代まで遡ります。
昔は、冬は出稼ぎで男性たちが不在。家を守るのは女性たちの役割でした。
昭和初期、白い割烹着に「婦人消防団」のたすきをかけた坂部の女性たちの写真も残っているそうです。



現在の会員は21人。
上の写真は社会福祉協議会からの依頼で、住民の方に配布する備品の袋詰め作業しているところです。
皆さん、楽しそうですね(^^)

 

婦人会の活動の一つに、住民の除草代行サービスを行っています。
坂部地区は、敷地の広い家が多く、一人暮らしだと手が回らない家もあるそうです。
チラシを配布し、依頼者が大事にしている野菜や草花に気を配りながら除草剤を慎重に散布します。
作業後は一緒に「花っこ(庭しごと)」をやりながら、おしゃべりを楽しんでいます。


活動の大きなテーマが「見守り」「声がけ」です。
自分たちが出勤したり散歩したりする時、住民をみかけたら声がけをする。
「これが大事」と阿部さんは話します。

こんなエピソードがあります。
一緒に散歩をするのが日課の仲のいいおばあちゃん2人。
ある日、そのうちの一人が救急車で運ばれたと聞き、
阿部さんが婦人会の見守りメンバーに電話したところ「今、一緒に救急車にのってるって言うんですよ」。

たまたま、婦人会の女性が、散歩中の2人を見かけたので一緒におしゃべりしていたら、
一人がろれつがまわらない状態になったそうです。
「たまたま、メンバーが一緒だったので救急車をすぐ呼んだんですが、
おばあちゃんたちだけだと不安だったと思います」。



その方は今ではすっかり元気になって、元の生活に戻っているそうです。
「たまたま」のタイミングでしたが、日ごろの声かけの習慣が、いざという時、力を発揮するのかもしれません。



この他にも、真冬の極寒時、倒木で坂部一帯が停電した時のこと。
阿部さんたちは、消防団、民生委員、婦人会のメンバーと連絡をとりあって、
「反射ストーブある?」「集会所に行こうか?」と家々を回りましたが、誰も集会所に避難しなかったそうです。
ある男性は「寒いし、おれだば(避難しなくて)いい」と、自宅で毛布をかぶっている。
反射ストーブもない家で、避難所に行こうって誘っても「いかね、今に電気つくべ」。
でも、夜になっても電気はつきません。
真っ暗な家で転倒したら大変と、
ストーブが余ってる家から、その高齢者宅にストーブを持っていき、
さらに隣の住民の方が電気が復旧するまで一緒に見守ってくれたそうです。


 

これらの経験から、婦人会でランタンを購入し、災害時に備えていますが、
阿部さんのお話からは、お互いを支えあいながら暮らす坂部地域の姿が伝わってきます。



また、毎月10日、「火の用心」を目的に、地域の巡回を行っています。
写真は、横手市に合併する前の旧大森町時代から使っている“たすき”。
「今月私が火の用心でまわったら、次の人、次の人と『たすき』をまわしていくんです」。
SNSのLINEで「今日、火の用心ですよ」とメンバーに連絡するのは、今の時代ならではだとか(^^)



坂部婦人会の皆さん。
普段は働いている方もいるため、顔を合わせる機会が少ないそうですが
ボランティア活動や小物の手作りなど、一緒に作業していると、会話が弾み、とても楽しいそうです。



坂部を含む保呂羽地域は、雪下ろしの共助組織もあり、昔から地域のまとまりがいいと言われています。
阿部さんのお話からは、昔からご近所で助け合ってきたことが根付き、今の活動にもつながっているように感じます。
これからも、住民の皆さんのつながりを紡いでいってほしいですね。
坂部婦人会の活動をご紹介しました!