元気ムラのブログに新しく、五城目町・大川地域が登場です!
9月15日、大川地域の西野集落で行われた「八幡神社例大祭」にお邪魔しました!
西野集落の八幡神社は、村が出来たとされるおよそ四百数十年前に建立された由緒ある神社です。
町内会全員(65世帯)が八幡神社の氏子(うじこ)という西野集落は、
イオン五城目店にほど近く、五城目町のシンボル「森山」を望むことができる地域です。
この日はあいにくの雨でしたが、黄金色の田んぼが広がる、美しい景色を見ることができました。
取材班が五城目町短期地域おこし協力隊員の橋本さんと一緒に向かったのは、
平成25年(2013年)の統前(とうまえ:祭りの当番、代表者のこと)、加藤慎一さんのご自宅です。
前日、14日には神様をお迎えする儀式を行い、
「大弊(おおべい)」に宿った神様は、そのまま統前宅に一晩泊まりました。
例大祭の15日には、統前宅に町内会長の佐藤悦郎(えつろう)さんをはじめとした、町内会役員の皆さんが集まりました。
31代目の宮司といわれている廣幡力(ひろはたちから)さん(写真:左)は西野集落に住む、地元の宮司さんです。
神事が執り行われた後、集落内の八幡神社へ移動します。
例年であれば「稚児(ちご)行列」が行われるのですが、大雨により中止になってしまいました。……うぬぬ、台風め(泣)
稚児行列は地域の子ども14人の参加が予定されていたそうです。
統前の加藤さん宅前で慎一さんと息子さん、お孫さんで写真撮影をさせて頂きました!
慎一さん(写真:中央)が抱えているのが、神様が宿るとされる「大弊」です。
名前の通り、本当に大きいです!
八幡神社に到着すると、各々参拝をして神殿に入り、
紙でできた「かけじめ」と呼ばれる「結界」を巫女さんからかけて頂きます。
その後、祝詞奏上(のりとそうじょう)、巫女舞、玉串奉奠(たまぐしほうてん)などの厳粛な儀式が執り行われていきます。
玉串とは榊(さかき)の枝に紙垂(しで)を付けたものを言い、玉串奉奠は玉串を神様に奉納する事を言います。
一通り儀式が終了すると、儀式の前にかけてもらった「かけじめ」を外す「しめはずし」という儀式が最後に行われます。
この儀式には、
「神様のご加護が宿った「かけじめ」のおかげでお祭りを無事に終えることができました。」
という神様への感謝の気持ちが込められています。
儀式の後、直会(なおらい)が行われます。
なんと座布団が足りなくなるほどの参加人数で、
「座布団が足りなくなるほど人数が集まったのは初めてだな。」と驚きの声が上がっていました。
ここで、西野集落独特の儀式が執り行われました。
「統前落とし」と呼ばれる、次の統前を決めるための儀式です。
西野集落では、八幡神社のお祭りが3つ執り行われます。
11月の「新嘗祭(にいなめさい)」、3月の「祈年祭(きねんさい)」、そして9月の「八幡神社例大祭」。
その3つのお祭りの統前を毎年、例大祭の直会の途中で決めていきます。
西野集落は上(かみ)、中(なか)、下(しも)と班分けがされており、上から「1番丁」「2番丁」「3番丁」と呼ばれています。
毎年、「番丁」で担当するお祭りは変わり、必ず各家々に統前が回ってくるシステムになっています。
この「統前制度」が始まったのは60年前のことで、全戸が統前を務めるには、あと5~7年が必要なのだとか。
さて、統前落としですが、統前を決めるのはもちろん神様です。
どうやって神様に選んで頂くの?と疑問に思う方もいると思います。
その選び方はとってもユニーク!
「落統(らくとう)対象者」、つまり統前候補の皆さんの名前が一人一人読み上げられると、
名前が書かれた紙が台の上に乗せられ、不正がないかどうかを同じ番丁の皆さんで確認して、宮司さんの元へ台を戻します。
さて、ここからどうするのでしょうか……?
「神の手がのびます。」
という宮司さんの声がかかると、宮司さんは扇子を台の上の紙に伸ばし、紙をひとつだけ取り、盃の上に落としました。
この動作が、統前落としの名の由来になっているのです。
今回の落統対象者はひとつの番丁に6人~8人おり、最後に発表された方が次のお祭りの統前となります。
盃の中に御神酒がなみなみと注がれ、名前が発表されていきます。
統前落としは厳粛に行われるのかと思いきや、とても盛り上がる儀式です!
名前が発表されると「おお!」と歓声が上がります。
最も盛り上がるのは、来年の例大祭の統前決めで、その中でも、もちろん最後の2人が残った時!
「残ってるのは誰と誰だ?」
「会長さんと静夫さんだ!」
「会長さんが選ばれるんでないか?」
さぁ、来年の八幡神社例大祭の統前は
佐藤会長か、小玉静夫さんか!?
来年の統前には小玉さんが選ばれました!
加藤慎一さん(左) 小玉静夫さん(右)
統前に小玉さんが選ばれたことはすぐに地域に伝わったのか、間もなくお祝いが届けられました!
「明日から塩をなめて来年の例大祭に備えたいと思います!」
という、お茶目なご挨拶の後「引き渡しの儀」が執り行われました。
今年の統前から、来年の統前へ御神酒とお役目が引き渡されます。
その御神酒は参加者全員にも回されます。
かなり盛り上がった統前落としの儀の後は、統前宅に戻り、例大祭最後の儀式を執り行います。
神様をお送りする「神送りの儀」です。
この神送りの儀も西野集落独特の儀式。
宮司さんが統前宅中を全てお祓いして歩きますが、見られたくない所は、事前に宮司さんにお伝えします。
統前の加藤さんが先導し、宮司さん、町内会役員の皆さんで一列になって歩きます。
家中のお祓いが済むと、神棚に神様の力が宿るとされる「御幣(ごへい)」を奉納して2度目の直会を行い、
例大祭全ての儀式が終了となりました。
「今では簡略化が進み、特に統前落としや神送りの儀を行う地域はほとんどなくなってきている。
八幡神社の例大祭を古くからの形式でそのまま残す西野集落は最後の砦。」
「西野集落住民の心のよりどころは八幡神社。」
集落全体で守り、伝え、繋ぐ、いにしえの伝統。
そこに見えたのは、集落への親しみと、伝統への誇りでした。
以上、稲刈りもそろそろ最盛期、大川地域の西野集落から
広域連携推進員がお届けしました!