8月13日(日)、迎え盆。
この日、北秋田市・浦田地域で「浦田獅子踊り」が行われました!
「浦田獅子踊り」は浦田若勢会が主体となって継承しており、当日は「浦田神社」境内の「戦没者忠魂碑」に黙とうを捧げ、「原昌寺」、「浦田地域中央部(浦田神社前の通り)」、「浦田神社」で「浦田獅子踊り」を披露します。
その道中、今年亡くなられた方のご自宅へ向かい、祈りを捧げました。
生前、行事において囃し方(はやしかた:祭りなどで笛や太鼓を演奏する人)を担っていた方や自治会役員を務めていた方など、浦田地域への功労者へ祈りを捧げるのだといいます。
「浦田獅子踊りでもなんでも、囃し方がいないと始まらない。浦田獅子踊りの要になるのは囃し方なんだよ」と、地域の方から教えてもらいました。
お話を聞いていると、大名行列が始まりました。
浦田獅子踊りの灯籠と、豊年満作の文字が書かれた旗を先頭に行列が進みます。
それぞれ23の役割があり、60数人が行列の役を担うのだとか。
写真は左から順に薙刀(なぎなた)と挟箱(はさみばこ)。
闇夜の中、薄明かりに照らされてその姿が浮かびあがり、とても幻想的でした!
行列の最後に「獅子」が到着すると、浦田若勢会の平沢会長を中心に「獅子(しし)」、「駒(こま)」、「奴(やっこ)」、「棒使い」の順に4つの演目が披露されます。
この全てを総称して「浦田獅子踊り」と呼びます。
●獅子
初めの演目「獅子」は、一頭の雌獅子(めじし)を二頭の雄獅子(おじし)が取り合うお話です。
赤色の獅子が雌の獅子で、この演目のハイライトは萱(かや)に隠れた雌獅子を探し求めるシーン。
雌獅子は萱に隠れながら時折、萱の間から顔をのぞかせます。
その周囲を雄獅子が行ったり来たりしながら雌獅子の行方を捜します。
獅子頭のたてがみを振りかざして踊られる、激しくも勇壮な踊りです。
●駒
「駒」は終始激しく跳ね踊る、力強さが感じられる踊りです。
途中、次の踊りの合図を出すのが「一番駒」と呼ばれるリーダーの駒。
今年は4頭の駒が踊りました。
陣形は、2頭ずつが向かい合って踊るもの、一列や円形に並ぶものなどがあります。
時折、沿道から「息あがってるぞ、がんばれ!」といった声援も上がっていました。
●奴
「奴」は老若男女が円形に並び、扇を使った踊りを披露します。
子供たちも一生懸命に踊っていましたよ!
奴の師匠で、大成会(たいせいかい:浦田地域の65歳以上の住民でつくる会)の会長である田中さんは、なんと40年間、奴を踊っています。
○奴の師匠 田中さん
今年は当日になるまで奴の人数が不安だったそうですが、「当日には問題なく踊ることができて良かった」と話してくれました。
●棒使い
「棒使い」は2人1組で2組あり、1組ずつ、中心で棒術を披露します。
迫力のある掛け声と、素早く繰り出される力強い棒術に、沿道からも「いいぞ!」と声がかかっていました。
全ての演目を披露し終えると、最後に「獅子納め」が行われます。
次の「浦田獅子踊り」まで暴れだすことの無いよう、「獅子」と「駒」の首を刀で斬る儀式です。
一頭の獅子から一人の人間に戻る瞬間をあらわしているのでしょうか。
写真は獅子納めの前に、獅子と駒にお神酒を注いでいるところです。
儀式の役割を担う方が刀を抜き、儀式が始まります。
獅子頭や駒の後ろには踊り手が座り、「えいっ」と斬られた瞬間に叫び声を上げますが、ユーモアあふれる叫び声がほとんどでした!(^^)!
首を斬る儀式と聞き、厳かな儀式を想像しましたが、緊張感の中にも温かさが感じられる儀式でした。
儀式のあとは直会(なおらい)が行われ、浦田地域の夜は賑やかに更けてゆきます。
「浦田獅子踊り」は、「見せる」踊りというよりは、「先祖供養のため」の踊りという意識が強いとのこと。
かつては一週間行われ、阿仁合や鷹巣の地域へ出張したこともあったそうですが、今では毎年8月13日に、地域内だけで行われる行事となりました。
親や地域の方から教わりながら継承してきた「浦田獅子踊り」。
地域の方は「地域をつくるのは人。そして様々な場面でともにある道具。人と道具は財産だ」と話してくれました。
※集合写真をクリックすると、大きく表示されますのでぜひご覧ください♪
以上、厳かな中に見える人々の温かさが心地よい「浦田獅子踊り」の様子をお届けしました!