前編に引き続き、8月20日に行われた大館市釈迦内地域・
長面袋集落の「人形祭り」の様子をご紹介します!
薄暗くなってきた18時30分頃、会館前で出発式を行います。
子供たちが太鼓、笛でお囃子を奏でながら……
人形を乗せた山車を、みんなで引っぱり、集落へ出発!
のどかな田園の中を山車が通ります。
集落に入ると、不幸のあったお宅を除き、各家の前で立ち止まり、
人形様に手を合わせる住民の姿を見ることができます。
この時、住民がお神酒やお供え物を渡しますが、
「きりたんぽ」をお供えする人が多いそうです(^^)
全ての家を回るのに、2時間程かかりますが、
太鼓と笛の音が心地よくて気持ちいいんですよ♪
20時30分頃に全世帯を回り終えると
人形様をお堂に戻しに向かいます。
お堂の前で人形様に二礼二拍手し、
「1年間よろしくお願いします!」と締めくくり、
今年の長面袋集落の人形祭りが無事終了しました。
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長面袋では、人形祭りの存続が危ぶまれた時期がありました。
平成5年頃までは、人形をリヤカーに乗せ、
録音したお囃子をテープレコーダーで流しながら練り歩くだけで、
「殺風景」だったそうです。
もともと人形祭りは「大人の男」が中心の行事でした。
祭りの後の親睦会(酒盛)は、年配の男性しか参加できず、
当時の子供たちは「早く家に帰れ」と言われ、寂しい思いをしたそうです。
長面袋出身の女性たちも、幼少時の人形祭りの記憶があまりなく、
一部の住民だけのお祭りになっていたことが分かります。
現在、自治会長を務める小松圏悦さんは、
「このままでは行事が出来なくなる、何とかしなければ」と
平成5年、当時の自治会長さんから相談され、
若者たちを集めて、どうするかを話し合いました。すると女性たちから
「自分や子供も親睦会に参加できるなら協力する」、
という声が上がったそうです。
これを機に、平成6年に住民で保存会を発足させ、お囃子の継承や、
住民が祭りに参加しやすいように取り組んできました。
山車は、保存会発足後、住民の皆さんが
それぞれの得意分野を出し合って作られました。
鉄工所から材料をあつめ、溶接などもすべて自分たちで行い、
背後の布も縫製が得意な人につくろってもらいました。
提灯は全世帯主の名前入り。
山車には電機屋さんが自家発電機を取り付けましたが、
平成23年の東日本大震災で集落が停電した時、
この発電機が活躍したそうですよ(^^)
現在、人形祭りの保存会長を務める小松元雄さん(左)は、
「仕事が終わったら会館に集まって山車づくりに付きっきり。
当時は山車を入れる小屋も無く、テントを張っていた」とのこと。
町内会が専用の小屋(右)を会館の隣に作ってくれたそうです。
「大変だったけど、自分たちががんばったものが
目の前にあるから、達成感も自信になっている」と話します。
2つしか無かった太鼓も、今はこの通り。
子供が叩き手として参加しやすいように、
小さい太鼓をどんどん増やしました。
今では、隣の町内からも「参加したい」という親子の姿も見られます。
行事復活のきっかけとなった祭り後の親睦会。
みんなで、お供え物のきりたんぽをいただきます(^^)
大人だけのお祭りは、現在、子供から大人まで
住民みんなで参加できる行事に生まれ変わりました。
進学や就職で県外に住む集落出身者も、
この祭りに参加したくて帰省する人も多いそうです。
住民が帰りたくなる場所を、住民の皆さんが作り上げたんですね。
時代の変化とともに変わってきた人形祭りですが、
変わらないものもあります。
それは、祭りの後に食べる「きりたんぽ」。
そして人形様を拝む住民の皆さんの姿です。
住民で作り上げてきた長面袋集落の人形祭りの様子をお届けしました!(^^)