10月31日(木)、北秋田市浦田地域で、「社木伐採報告・安全祈願祭」が行われました。

浦田地域のシンボルとも言える、浦田神社の社木(杉の木)は、800年以上前に浦田地域の住民が植栽したもので、長い年月、浦田地域を見守ってきました。
令和元年の今年、社木の悠久の歴史に幕を下ろすことになりました。

社木伐採の話が持ち上がったのは2年前。

枝枯れにともなう落下が顕著になり、神社の周囲にある道路を通る住民が、けがをする恐れが出てきたためです。
2年間の話し合いの末、住民たちの安全・安心のため、社木を伐採する決断に踏み切りました。

祭典には、浦田神社責任役員を筆頭に、浦田の住民、社木伐採に関わる団体等が参加しました。

今回の祭典は、浦田神社の神様に、社木を伐採することの報告と、今後の伐採作業の安全を祈願する祭典です。

本殿での神事の後は、境内に出て、社木一本一本に塩と酒を撒き、一礼しました。

社木の中には、枝を切り払い、様子が変わったものも見られました。

浦田神社の宮司、藤本さんは、
「私が幼い頃、境内の社木に登ってしかられた思い出があった。浦田神社の社木は、それほど、昔から浦田の住民のそばにあった。」
と、断腸の思いを表情ににじませました。
しかし、住民の安全を考えた結果だからこそ、
「祖先が守り伝えてきた浦田地域を、安全・安心に次世代へバトンタッチできるよう、
これからも守っていきたいという気持ちがますます強まった」と話してくれました。

すべての社木の伐採には2週間ほどかかるそうです。

住民の中には、伐採される前に社木がある浦田神社を写真に残そうと、カメラを向ける方々も。

こちらは、住民からのおすすめのアングル。

神社が社木の森に守られているのがよく分かるアングルです。

この日は曇り空でしたが、神社の上にかかる雲が時折晴れ、社木の旅立ちを祝福しているかのようでした。

以上、社木との思い出が住民たちの心に甦った浦田神社から、集落活動コーディネーターがお届けしました。

★ピックアップ
祭典後、浦田地域にある「源昌寺(げんしょうじ)」で、ありがたくも珍しいものを見せてもらいました!

こちらは、「浦田焼」の千体仏と、三十三観音です。
「浦田焼」は、江戸時代中期に始まり、明治年代に途絶えたと伝わっています。
千体仏は、戦時中、戦争に向かう人々へ一体ずつ、弾除け(お守り)として持たせたそうです。
浦田地域の長い歴史が伝わる、ありがたい出会いでした!