2月10日(日)、大仙市小神成地域の田の尻集落で、火まつりが行われました!
前編は、夜の火まつり本番に向けての準備や、子供たちによる餅つきの様子をお届けします!

田の尻集落の火まつりでは、「雪中田植え」「天筆(てんぴつ)行事」「紙風船上げ」などの小正月行事が一挙に行われます。
現在の火まつりの元となったのは、150年以上前から各家々で行っていた「雪中田植え」。
「雪中田植え」は、「作占い」とも呼ばれ、行事を行ってから、一週間、二週間と、植えた稲を見守り、稲がどうなっているかで、凶作か豊作かを占うものです。
しかし、時代が移り行き、専業農家が徐々に減少し、それに伴って「雪中田植え」を行う農家も減ってしまいました。
そこで、昔から田の尻集落で行っていた「天筆行事」と一緒に行うことで、「雪中田植え」の伝統を残そうとしたのです。
「住民たちが楽しみながら継承できるよう、小正月行事を盛り上げよう」と、25年程前に、雪中田植えの際に、型付けをしたり、「早乙女(さおとめ)」に「かすりの着物」を着せたりし、徐々に現在の形へと変化してきました。
現在では、火まつりは、住民たちが顔を合わせる大切な機会となっています。

さて、田の尻集落の火まつりは、まだ草木も凍る朝から始まります。
住民たちが、火まつりに使用する道具を載せた軽トラックやトラクターで、次々と集まってきます。

その様子を見ていると、「田の尻集落の面白いところ、教えようか」
そう話しかけてくれたのは、田の尻集落の水谷会長。
「行事やるよって言っただけで、誰がどの役割で、何を持ってくるって指示しなくても、必要なものを各自で持ってきてくれるんだ。かがり火をたく木も、秋頃に枝切りをしたものを会館へ持ってきて、蓄えておいてくれるんだよ。面白いでしょ!」
と、うれしそうに話してくれました。

会館の中は、昼から行われる子供会の餅つきや、昼食の準備で大忙し!

米が炊ける匂い、味噌の香り……あちらこちらから良い香りがしてきます。

  

毎年、火まつりには、「餅」「おはぎ」「豚汁」「大根汁」の4種類を用意するのだとか!
体が温まりそうですね~(^^♪

火まつりの会場設営は男性たちが担当!

写真右側、元気な笑顔のお父さんは、田の尻集落の男性の中で最年長の、御年89歳!
青年のころに出稼ぎのために集落を出た以外は、ずっと田の尻集落にお住まいです。
水谷会長が、田の尻集落で継承してきた火まつりを記録に残すため、歴史や必要な道具などを聞き取りした生き証人でもあります。

夜の祭り本番に向け、「雪中田植え」の神棚や田んぼ、「天筆行事」に使う「かまくら」を作ります。

  

「かまくら」と聞くと、雪で作るドーム型のかまくらを思い出しますが、「天筆行事」に使う「かまくら」は全くの別物!

●かまくら

「かまくら」は、長い棒に藁を結び付けて自立させた、塔のようなものなんです。
夜には、3本の「かまくら」に火を付け、その火で「天筆」を燃やします。

●天筆

「天筆」には、「家内安全」「商売繁盛」などの願い事が書いてあり、夜の本番までは各家々の玄関前に刺しておきます。
その天筆を燃やし、空へ願いを届けるのが「天筆行事」です。

さて、会場設営は滞りなく進み、お昼になりました!
子供会の餅つきの時間です!
今年は、部活動などで参加できない子もいましたが、4人の子供たちが参加しました。

田の尻集落で栽培したもち米を蒸かしたものを、ぺったん、ぺったん♪

お父さんとお母さんの「よいしょ~!」という声に合わせて、重い杵を一生懸命振り上げていました!

餅つきの後は、昼食会!

  

つきたてのお餅が入ったお汁粉や、豚汁、ぼた餅、女性たちが持ち寄った漬物などが並び、集落の皆さんは、夜の本番に向けて鋭気を養いました!
この日は手が凍りそうなくらい寒い日でしたが、温かいお料理で、体内からホカホカになった取材班でした!

火まつり本番の様子は、後編でお届けします!
お楽しみに~(^^♪

★後編は、次のリンクからご覧ください!
【産地直送ブログ】皆の願いよ天まで届け!大仙市小神成(こがなり)地域田の尻集落の火まつり! ~ 後編 ~