画像:かすべ煮

 昔から、北海道や東北地方では、味に少々癖のある魚である「エイ」を上手に料理して食べる伝統があります。特に、エイの干物は「かすべ」と呼ばれ、冷蔵庫がまだ普及していない時代は、保存のきく海産物としてたいへん重宝されました。また、お祭りなどのごちそうとしても親しまれてきました。

 そうしたエイ料理の代表的な料理が「かすべ煮」です。「かすべ」を水で戻し、甘辛く煮つけたもので、お正月やお盆、結婚式などのお祝いごとでよく食べらます。

 大館市の中野地域でも「かすべ煮」が食べられています。中野のお母さんたちのこだわりは、七輪で熾した炭火を使って「かすべ」を煮込むこと。ガスの火では身が締まりやすい「かすべ」を炭火でコトコト煮込むことにより、身はより柔らかく、またうま味もたっぷりと煮汁に溶け出します。

 煮汁がゼリー状に固まった「かすべ煮」を一口ほおばると、臭みも消え、甘辛い味付けの柔らかい身がほろりと口の中でほどけます。すべすべの肌も手に入れられるとあっては、中野のお母さんたちが見せる「かすべ煮」へのこだわりも納得です。

平成23(2011)年4月掲載

こちらの記事もおすすめです

赤漬け

  大館市中野地域で昔からよく食べられている「赤漬け」は、お盆のお供え料理として真っ先にあげられるほど馴染み深い郷土料理です。  「けいとまま」「あかまま」とも呼ばれ、赤漬けに使われているもち米のきれいな赤色は、...

郷土料理

「雪中田植え」と「なしっこ」

 大館市中野地域に伝わる小正月行事が雪中田植えです。この行事は、地域住民の親睦を図るため、中野や五日市などの町内会が合同で参加する「三岳地区まちづくり協議会」によって、毎年2月11日の勤労感謝の日に行われています。...

伝統行事・イベント

小正月行事

中野の浅利氏の歴史

 大館市中野地域は、浅利氏の支城「中野城」のあった場所でした。当時、比内近隣では大館市に次ぎ二番目の戸数を誇ったと伝えられています。  永禄2年(1559年)「桶狭間の戦い」の一年前、ここ中野城へ一人の武将が入城した...

歴史

地域の歴史