画像:「おさんがみさん」の祭典

  大屋地域の新町集落には、不思議なお祭りがあります。「おさんがみさん」のお祭りと呼ばれる山の神のお祭りです。山の神様……といえば女人禁制が多いのですが、このお祭りは正反対、なんと女性だけで行います。弘法大師お授けのお祭りと言われ、「安産祈願」「子どもたちを守ってあげる」ためのお祭りです。

 春と秋、山の神様が里に来る4月12日と里から帰る11月12日に行われ、昔はお寺のお坊さんと神社の禰宜(ねぎ)さんが交互に来て祭りを行った神仏混淆(しんぶつこんこう)の色が濃いお祭りでしたが、現在は形を変えて地域の皆さんだけで行われています。
 新町集落の会館では、昼過ぎから当番に当たる家々から女性が出て、ふるまいの料理の準備を始めます。料理はすべて「奇数」個の具材を使い縁起をかつぎます。
 神棚の準備も進められ、「山神尊」と書かれた掛け軸を床の間に掛け、ご神体の石を供えます。横手神明社の境内にある横手澤神社と関係があるお祭りと言われ、ご神体にその共通性を見いだすことができます。
 また、「山神尊」の掛け軸は、遠く宮城県の神社との関係の可能性があります。ずっと昔の話ですが、新町集落の皆さんは金華山や竹駒神社へと参拝し、途中大崎市付近でよく宿を取っていました。その時に頂いた掛け軸かもしれないとのことでした。
 夜、会館に女性たちが集まってきます。集合時間はおおまかに決まっていますが、それぞれの都合の良い時間に訪れます。そして、ご神体に参拝すると「白子」と呼ばれる小麦粉と砂糖を水で溶いたものをちょっと手に付けて頂きます。「白い綺麗な子どもが産まれますように」という願いがあります。続いて席に着くと、地域のお母さんたちが腕によりを掛けた卵酒とごちそうが振る舞われます。若いお嫁さんたちも「お姑さんに勧められて」参加してます。昔は、若いお嫁さんを立派にこのお祭りに出すのが良いお姑さんと伝えられていました。
 年に2回の「女子会」は、地域の女性たちが顔合わせする場として受け継がれています。
平成25(2013)年8月掲載
 

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