大仙市半道寺地域の北に位置する小高い山の中腹に「宝泉寺」があります。
享保17(1732)年に建築された寄棟造りの本堂は、平成13(2001)年12月に大仙市の有形文化財に指定されました。境内には「姿見の池」があり、「池の水に映る影があきらかでないと短命」と言い伝えられています。
旧西仙北町の言い伝えをまとめた「町の昔をたずねて」によると、半道寺地域の南東に位置する大野集落に古寺跡があり、そこが宝泉寺の跡だったと伝えられています。その後、西野集落に移転し、さらに江戸時代に現在の地に移転したと言われています。
宝泉寺が位置する山は、戦国時代、角館を拠点に勢力を持っていた戸沢氏の「出城(でじろ)」の一つと伝わり、地名から「黒沢城」と呼ばれていました。江戸時代の紀行家・菅江真澄の「月の出羽路」には「黒沢館として古柵、宝泉寺の西にあたりて在り、今泉村よりは此城山を館ノ腰といへり。戸沢上総介光広朝臣の跡なるよし」と記されています。
戸沢氏の出城は黒沢城の他にも生内、大曲、淀川、荒川など、仙北・平鹿地域に合わせて35城ありましたが豊臣秀吉の命によってすべて破却されました。現在の黒沢城址・山頂部には15m×45mほどの主郭が確認されています。
平成27(2015)年3月掲載
■参考文献
『町の昔をたずねて』
『西仙北町史 先史~近世編』
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