釜ケ台番楽の始まりは、今から約400年前に京都の修験僧「本海行人」が伝えたとされています。鳥海地区を中心に広がる「本海流番楽」の流れをくみ、冬師(とうし)、伊勢居地(いせいじ)などの番楽と共通点が見られます。
舞は神楽と獅子舞から始まり、多種多様な舞があり、現在は18の演目を上演しています。全てを舞うには3時間以上かかります。
また、釜ケ台番楽は五拍子のお囃子で舞い、東西南北の四方向に向かって舞いをするため、他地域に伝わる本海流番楽と比較して舞いが入念であることが特徴です。
さて、番楽の公演といえば、観客は静かに座って舞を見るものと思いがちですが、釜ケ台の番楽は一味違います。途中の演目で舞い手がいきなり客席に乱入し、派手なパフォーマンスが繰り広げられるのが釜ケ台流です。
ひょっとこ面を着けた舞い手が子どもたちめがけて駆け寄り、そのまま連れ去ったり、夫婦役の舞い手が、客席に尻を向けながら滑稽な動作で餅つきを披露したり、観客に飛びかかったり。伝統芸能といった堅苦しさよりも、集落の皆が楽しみにしている娯楽という和やかな雰囲気があります。
毎年、8月14日に新盆を迎える仏の供養のための「初棚」公演が行われ、その後、8月20日に「遅れ盆」の公演が、釜ケ台多目的会館で行われています。
終戦後の世の中の移り変わりとともに、釜ケ台番楽の伝統も衰退をたどるようになってきていましたが、この伝統芸能の再興をはかろうとする地元有志が立ち上がり、保存会が結成されました。平成29(2017)年には広報チームを立ち上げ、情報発信にも力を入れています。「伝統」という考えを「伝承」に変えて受け継いでいけば番楽を存続していけると、新たな取組にも挑んでいます。
■参考文献
『仁賀保町史』
『釜ケ台番楽パンフレット』
【公式ウェブサイト】釜ケ台番楽保存会
→Twitter(@kamagadai_bngk)
→Facebook(@KamagadaiBangaku)
【関連リンク】産地直送ブログ
→釜ケ台番楽ギャラリー集(2019年8月掲載)
→にかほ市釜ケ台地域の夏祭り(2019年8月掲載)
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