画像:わらび粉誕生秘話(2)~猪股夫妻のわらび粉づくり~

 平成22(2010)年、由利本荘市三ツ方森集落で開催されたワークショップで、当時80代の猪股おスエさんが「昔、食べていた根花餅(わらび餅)、もう一度食べたい」と話したことがきっかけとなり、三ツ方森集落でわらび粉づくりがスタートしました。

 根花餅はわらびの根から抽出する「わらび粉」を原料に作られます。昔は県内各地で作られていましたが、今は作る地域もほとんど無くなってしまいました。

 約60年ぶりのわらび粉づくりは、人力で根を掘って叩いてと四苦八苦。最初の年はわらび粉が地面に流れてしまい失敗しましたが、町内会長の猪股保さん、節子さんの夫妻を中心にわらび粉精製への挑戦が始まり、少しずつわらび粉が取れるようになりました。

 わらび粉作りで一番大変なのが、根を打ち砕いてわらび粉を取り出す作業です。1日叩いても20kgの根から採れるわらび粉は1kgあるかどうか。手間のかかる作業を続けてこれた理由は、「なんだかんだで面白かった」「周りの人たちが一生懸命応援してくれる。自分たちも納得いくものを作らなきゃ」と2人は話します。

 活動の中で転機となったのが、京都で和菓子の原材料を取り扱う(株)ヤマグチとの出会いです。ヤマグチのアドバイスから完成させたわらび粉は、平成25(2013)年、商品として扱える状態になり、京都のわらび餅専門店でも販売されました。

 いつのまにか、わらび粉に興味を持つ地域・団体やマスコミなどが訪れるようになり、「人と人とのつながりが出来た」と保さんは話します。

 「自分たちは2人で1人前。何をするにもどちらが欠けても活動できない」と話す保さん。10月下旬になると、わらびの根っこ掘りの季節がやってきます。掘りだした根を洗浄し、何度も何度も根をつぶして濾してを繰り返す精製作業。最初は手作業だった工程も、保さんが使わなくなったコンクリートミキサーや洗濯機を改良して作業の効率化が進みました。また、二人の人柄に惹かれ、様々な人がわらび粉づくりの応援に駆けつけています。

 「わらび粉を通して仲間が出来て、もっと交流していければ」と話す保さん。三ツ方森の挑戦はこれからも続きます。

平成25(2013)年11月掲載
令和2(2020)年11月更新


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