「才(サイ)の神焼き」は由利本荘矢島地域に古くから伝わる小正月行事です。家内安全、無病息災を願い、また水神様を祀り夏場に水が枯れないように祈るお祭りでもあります。ここ、由利本荘市の坂之下集落でもずっと昔から守り伝えられてきました。
かつては坂之下の集落の中にある7つの「小部落(こぶらく)」それぞれで行われていました。しかし、現在はひとつにまとめられ、1月15日前後の一番近い土曜日の夜に行われています。
PTAが中心となって行われてきたお祭りですが、5年ほど前に少子化から一度存続が難しくなりました。そこで保存会として「どんど会」が結成され、集落の他の組織や家々に協力をもらいながら行事を守ってきました。
昼過ぎから半日がかりで大きな稲藁の山と、その上に十字の人形をしつらえます。吹雪の中でも行われる作業は楽なものではありませんが「ここで生まれて、ここで育っているから」「冬の大事な行事だから」と、保存会の方たちは話します。
夜、会館の裏手の会場では、雪の壁に掘られた灯籠たちがほのかに辺りを照らす中、子どもたちが集まってきます。まずは神棚を拝んだ後、小さい稲藁の山に火を付けて「種火」にし、いよいよ稲藁の山に点火します。藁束に火をつけた子どもたちが、次々と大きな稲藁の山に火を移していきます。この時に正月飾りや、一年間使ったお守りも一緒に稲藁の山で焼いていきます。途中で、特製の針金のついた棒の先にお餅やするめを刺してみんなで焼いて食べます。風邪をひかないおまじないです。
燃え上がった人形が崩れ出したころ、みんなで花火を楽しんだり、会館の中で手料理や甘酒を楽しんだりして、坂之下の夜は更けていきます。
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