画像:鴇地域の活動

 小坂町鴇(ときと)自治会の活動の歴史でユニークなのが、近隣の鳥越集落とともに行っていた「漬物コンクール」です。

 各家庭で漬物用の大根を干す風景は、鴇の冬の風物詩でした。アイディアを出し合い、さまざまな漬物が生まれ、なかでもユニークなのは、鴇でよく作られていた山ブドウを使った漬物です。

 現在は、集落のブドウ農家により、鴇の特産品となるブドウ栽培が進められています。鴇のブドウ農家で組織される十和田湖樹海農園では、山ブドウの交配種をはじめ20種近くのブドウ品種を栽培し、それらを使ったジャム、ジュースなどの加工品も販売しています。ワインの製造は外部のワイナリーに委託していますが、道の駅こさか七滝や小坂町の直売所では、ブドウジュースやワイン、ジャムなどの鴇のブドウを使った特産品が人気を集めています。

 「何かやらねばならねえ」と始めたブドウ栽培は、鴇の人々で栽培方法について勉強会を行い、その後日本葡萄愛好会の会員から指導を受けるなど、工夫を重ねながら栽培に取り組み、今では小坂町を代表するブドウの産地となっています。

 また、鴇自治会では、鴇鉱山跡(小坂町指定文化財)への連絡道や集落の農業用水の刈り払いなど、集落機能の維持活動を行っています。

 昔から、鴇地域は高台にあるため、水の確保が難しく、1954(昭和29)年に町の簡易水道(鴇水道)か整備されるまで、生活用水と農業用水の確保に苦労してきました。現在、町の水道は小坂町の高寺山から配水されていますが、当時整備した鴇水道は、管理を鴇地域に移し、今も、飲用以外の水利に活用されています。

 毎年6月に行われる「道はらい」は、自慢の水道の歴史を今に伝える行事でもあります。

平成23(2011)年3月掲載

【関連リンク】産地直送ブログ
小坂町鴇地域のブドウ栽培を学ぶ(2016年6月掲載)
鴇地域の道はらいと水道の歴史(2012年6月掲載)

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