「けいらん」は鹿角市に伝わる郷土料理です。こしあん入りの餅を鶏卵に見立てて、すまし汁に浮かべます。

 鹿角市にある尾去沢鉱山は上方(かみかた:現在の大阪、京都を初めとした都や皇居に近い地域のこと)と交易があったため、江戸時代に禅宗の精進料理の一つとして京都から伝わったと言われています。旧南部藩の領地に伝わる「けいらん」ですが、三ツ矢沢を含む鹿角市のけいらんの特徴は、あんにクルミと胡椒が入ることです。
 
 山で採れるクルミはともかく、なぜ胡椒が入るのか? はっきりしたことはわかりませんが、交易が盛んだった尾去沢鉱山のお膝元であることから、舶来品である胡椒を取り入れたのかもしれません。
   けいらんは精進料理のお吸い物として作られてきた行事食で、通常、白いけいらんを二つ浮かべます。おめでたい時は食紅でピンクに染め、紅白のけいらんを作ることもあります。
 
 今はホテルや式場で作られることが多いけいらんですが、かつては集落の料理上手なお母さんたちの手作りでした。大きな人寄せのある行事の際は、何人も家に集まって作りました。甘い物の少ない時代、子どもから大人まで楽しみな一品でした。
 
 直径2センチほどのあんを手に取り、クルミと胡椒を入れて丸めます。白玉粉を耳たぶの硬さにこね、あんをくるんだらたっぷりのお湯で湯がき冷水にとります。具は卵そうめん、三つ葉、舞茸が入り、だし汁は昆布と削り節でとります。風味の良い舞茸が入ることも特徴的です。
 
 三ツ矢沢では、平成23(2011)年、鹿角市集落支援事業の一環で、ワークショップを開催し、地域のお宝探しを行いました。その中で郷土料理・けいらんの教室を開いてはどうかという意見があり、三ツ矢沢自治会館で料理教室が開かれ、  お正月料理として、紅白のけいらんを筆頭に、「とと豆(鮭とイクラ)ごはん」、「アボカドとカニのカクテル」、だし巻き卵を作り、集落の交流を深めました。

平成25(2013)年6月掲載

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