おいしいお話

米穀店 吉田屋「サキホコレは、高い次元で他の食材と調和が取れるお米です」

2025年05月20日

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「サキホコレは、高い次元で他の食材と調和が取れるお米です」

text by Sawako Kimijima / photographs by Masahiro Goda

 

東京・浅草橋にある「米穀店 吉田屋」は、明治18年(1885年)創業の老舗。140年の歴史を刻むこの店を5代目・小林健志さんが切り盛りします。小林さんは「五ツ星お米マイスターProf.」の資格を持ち、本業の傍ら、テレビの取材を受けたり、自治体主催の勉強会で講演するなど、若き米の伝道師としても活躍中です。

「吉田屋」の特筆すべき点は、顧客の8割が飲食店、つまり食のプロを相手にしていることでしょう。しかも、三ツ星レストラン、江戸前ずしの名店、有名ホテルなど著名店ばかり。「高品質の米を1年中同じクオリティで提供しなければならないため、選別や精米に神経を使いますね」という言葉どおり、店には高性能な色彩選別機や精米機が所狭しとひしめいています。

小林さんの向こう側に見えるのが、取り引き先の飲食店の数々。納品する米にこの札を貼って間違いのないように配達する。

手前は16段階の精米が可能な精米機、奥にあるのが品質不良の米や異物を取り除く色彩選別機。生産者から米を預かり、食べ手に届ける立場としての役割を精度高く行う。

 


温度管理も徹底。仕入れ⇒選別⇒低温保管して、必要な分ずつ店頭に並べる。

 

「割れやすい性質の品種は、何回にも分けて精米するんですよ」と語る小林さん。胸に抱くのは、お米の食味・食感をより良い状態で届けたいとの思いです。「シェフが厨房で行なう料理の仕込みのお手伝いをしている、そんなスタンスで日々お米と向き合っています」。
こまめに納品して、できるだけ精米したてを届ける配慮も怠りません。「『精米したてのお米がこんなにおいしいとは思わなかった』と、週1回だった配達を週2回に変更したホテルもあります」。

小林さんいわく「品質こそが信用。それによって信頼を得られる」。その言葉を裏付ける仕事ぶりです。「相手が納得する理由や根拠を提示するようにもしています。今年はこういう気象条件だったから、お米の特徴がこうなんですよと説明すると、ちゃんと耳を傾けてくれる。安価であることより、価格は高くても高品質であることを欲する店は少なくありません」。

「お米の世界には、無意識のうちに当たり前と思っていること、よく知らないけれど常識と思っていることが多い。裏取りして説明すると、腑に落ちて納得してもらえますね」

 

「料理をブラッシュアップさせたい飲食店にサキホコレを薦めます」

ひと口に飲食店と言っても、料理ジャンルやシェフの考え方によって求めるお米は様々です。「吉田屋」がお米を納めるのは、フランス料理店、中国料理店、すし屋、鉄板焼、うなぎ割烹、和牛レストラン、等々、多岐にわたります。異なるたくさんのニーズに応えているわけです。

小林さんは相談を受けると、「まず、シェフにヒヤリングをします。どんな料理で使いたいか、どんな仕上がりをイメージしているか。料理のアウトラインを教えてもらう」。その上で、いくつか候補を挙げて、シェフの意向とすり合わせながら銘柄を決めるそうです。
ちなみに、サキホコレを薦めるのは「お米を使う料理をさらにブラッシュアップさせたい場合が多いですね」。

現在、サキホコレを納めているのは、「一鳥目 とり松」(西麻布)、「鉄板 天祐」(新宿)など。
「とり松」は、厳選した地鶏や鴨の部位ごとの持ち味を生かすように調理してコースで提供する料理店。「コースを締めるごはんのもののお米を相談されたのが取り引きのスタートでした。〆ごはんはいわば“大トリ”の位置付けです。親子丼やそぼろ丼の米として、サキホコレを提案しました」。一方の「天祐」は鉄板焼。「ガーリックライス用の米とのオーダーで、ならば、粒がしっかりしながらも、硬くなりすぎず、粘りは強くない米がいい。というわけで、サキホコレをお薦めしたんですね」。

サキホコレはロットごとの差異が少ないのも魅力だと小林さんは指摘します。「ロットや年ごとの食味の差異は飲食店を悩ませてしまう可能性があります。サキホコレの安定した品質は、僕たちも自信を持って納品できますね」。

 

「多様化する現代の食卓に寄り添ってくれる」

小林さんはサキホコレを「高いレベルで他の食材との調和が取れる、懐ろの深いお米」と評します。

「日本の食卓は多国籍化しています。ごはんと味噌汁と肉じゃがや焼き魚で構成された昭和の食卓にはコシヒカリのようなお米が好まれましたが、今、おいしいお米の楽しみ方は白いごはんだけではありません。いろんな料理に仕立てて食べる。ごはんの王道が存在しないと言っていいでしょう。その点、粒の輪郭がはっきりしながら、ふっくら弾力があって、ベタつきのないサキホコレは、汎用性が高く、現代の食卓向きと言えますね。たとえばリゾットにしても粒が損なわれない。楽しみ方の幅が広いんですね。もちろん、際立つ旨味と甘味が現代人の嗜好に合うのは言うまでもありません」

「レストランへ配達に行くと、『納得のいく炊き方ができないので、教えてください』と頼まれることがあります」と小林さん。実際にサキホコレを炊いていただきました。

 


「米粒の芯の芯から甘味を引き出したいので、50分は吸水させます」。小林さんは吸水実験をしたことがあるそうです。「5分ごとに米粒を取り出して割って、どこまで吸水しているかを調べました」

 


二重蓋の土鍋を使用。「この場合、米と水は同体積が基本。普通の土鍋の場合には、水分が蒸気になって逃げてしまうので、水量をやや多めに」。炊き上がりのタイミングで最大火力にして10秒、鍋底の水分を飛ばし切るのがコツ。

 


「炊きたてのしゃもじの入り方で粒感がわかる」と小林さんは言います。「さっくり、もっちり、良い具合に炊けました!」

 

「ふっくらした粒に秋田県らしさを感じます」

「吉田屋」が扱う米の産地は12県に及びます。産地特性や品種特性を見極めて、取引先のニーズにフィットするように届ける小林さんの仕事から、全国の様々な地方のアンバサダーの役割を果たしている様子が見えてきます。

店頭には各県のブランド米が勢揃い。お米屋さんは全国各地のアンバサダーだ。

 


災害時米供給協力店であることを示す看板。地域のセイフティネットでもある。

 

「サキホコレには秋田県らしさが感じられる」と小林さん。「ふっくらした粒に、あきたこまちにも通じる秋田県らしさを感じるんです。品種開発に携わった人たちや栽培を手掛ける人たちの県民性が知らず知らず投影されているのではないでしょうか」。
小林さんの言う「ふっくら」という表現には、秋田の人々の優しさ、奥ゆかしさ、豊かさ、懐ろの深さといった意味が込められている、そんな気がしてなりません。

(データ)
米穀店 吉田屋
東京都台東区浅草橋1-22-13 吉田屋ビル1階
TEL.03-3851-5484
8:30~18:30
土曜、日曜休
https://kome-yoshidaya.com/

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