能代市二ツ井町にある七座山は権現倉、烏帽子倉、蓑倉、芝倉、三本杉倉、大倉、松倉の七つの峰が連なるなだらかな美しい稜線をもつ山。
山中のいたるところに露出した巨岩の間や岩の真上に樹齢300年あまりの天然秋田杉巨木が根を張り、大きな枝で天空を覆い隠す光景は迫力がある。
藩政時代に、藩にとって最も大事な御直山(藩が管理運営する山林)として保護されてきた。
かつては修験者の修業の場だったといわれる七座山には「巨大な竜・八郎太郎」の伝説も残されており、朝霧に煙る風景は神秘的な美しさを漂わせている。
二ツ井一帯の数多い杉の美林の中から、この地が御直山として大切に守られたのは、山の下を能代湊に続く米代川が流れており、幕府から緊急な納入命令があった場合、川を利用して短時間で木材を運ぶことができるという地の利が重視されたからと言われている。藩有から国有に移ってからも営林署の保護を受け、まれにみる見事な自然林になった。
1915年(大正4年)には国の風景林の指定を受けている。
また、きみまち阪から望む七座山の姿は迫力に満ちた美しさを誇り、1983年(昭和58年)には新秋田30景のひとつに選ばれている。
七座山は、植物が豊富でキバナノハシリドコロ、クルマバツクバネソウなどの貴重種が生育している。西側の稜線は、日本海からの冷風の影響を受け、高山性のアカミノイヌツゲやウラジロヨウラクなどが自生。風の当たらない東側斜面は植生が一変し、見事なまでの天然杉(80%)と広葉樹(20%)の混生林となっている。広葉樹は種類が豊富で、中でもクロビイタヤ、エゾヒノキ(ヒバ)、アワブキの生育は珍しく、また、ブナは標高100m内外の所から多数分布し、低林帯ブナ林として貴重。