泊岳(1038m)という山
能代市南部から白神山地を一望にすると、東側から田代岳、藤里駒ケ岳、小滝山と大倉山、焼山(能代市最高峰)、水沢山、二ツ森、泊岳、真瀬岳、向白神岳と白神岳、そして大鉢流山を最後のピークに日本海へと落ちていく。
このうち、秋田県側の山で登山道があり、一般の愛好者が登れる山は、田代岳、藤里駒ケ岳、小岳、二ツ森の4座に限られている。
中でも二ツ森は、世界遺産登録のきっかけにもなった青秋林道をアプローチすること、世界遺産緩衝地域内に足を踏み入れて核心地域を眼下にできること、小学生でも半日程度で楽しむことができることなどから、県内外の幅広い世代に対して白神山地世界自然遺産の意味や意義を知り、環境教育や郷土学習に寄与できるフィールドとなっている。
その二ツ森に隣接しているのが泊岳であり、能代市街からは二ツ森を隠すように、小岳からは世界遺産地域の森をはさんで二ツ森の左にその存在をアピールしている。
八峰町と藤里町の町界稜線にかつては杣道があり、その道は今では廃れてしまった水沢ブナの森公園上部へと続いていて、その藤里町側は世界遺産地域となっている。
以前に一度復活させたようだが歩く人も少なく、また刈払いも行われなかったため、現在は完全に藪化している。
泊岳からの展望は、二ツ森山頂からとはまた違った粕毛川源流部の秋田県側世界遺産地域を俯瞰することができる貴重な山岳である。
登山道復活の意義
現在は濃密なチシマザサと小灌木の藪となっているが、かつての踏み跡は微かに残っている。
この踏み跡を活かし、藤里町側の世界遺産地域に影響を与えないルートで登山道を復活整備することができれば、以下のメリットが得られると考えられる。
- 秋田県側白神山地で初中級者向けの登山可能な山が5座となる。
- 青秋林道からの二ツ森とセットで半日+半日の1日コースの登山フィールドとなる。
- 小岳と対峙して粕毛川源流部の世界遺産核心地域を見渡すことができる。
- ルートや鉈目から秋田マタギの歴史と文化を伝えることができる。
- タケノコ採りへの注意喚起(遭難、世界遺産地域内への踏み込み防止)とともに、登山口は万一の捜索拠点として機能できる。
想定ルート
青秋林道から分岐する作業道を利用し、終点の広場(タケノコ採りと思われるゴミが散見している)より、かつての踏み跡を復活させながら町界(世界遺産地域界)の稜線を辿り、途中の鞍部や危険箇所は固定ロープ(現在は腐ったロープが残置)などによって整備することで、3~4時間程度で山頂を往復できるルート(片道延面距離約2.5km)とする。
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P.928 手前の鞍部より秋田県側遺産地域越しに二ツ森を望む
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P.928 手前より泊岳山頂を望む
- 泊岳