比内地鶏とは
17.11.07
比内地鶏って?
日本を代表する地鶏のひとつ比内地鶏。濃厚なうま味と深いコクで食べるひとを魅了して止まないそのおいしさの裏側には、わたしたちが知らないさまざまなストーリーがありました。
長い歴史を持つ比内地鶏の由来から味の秘密、ブランド地鶏としての厳しい品質管理まで、知れば知るほどに味わい深さを増す比内地鶏の世界を紹介します。
秋田が誇るブランド地鶏。そのルーツは江戸時代の「比内鶏」に
江戸時代、かつて「比内」と呼ばれていた秋田県北部地方に、あまりのおいしいさから年貢として納められていた鶏がありました。
それこそが比内地鶏の祖先である「比内鶏」です。時は流れその比内鶏の子孫である「秋田比内鶏」とロード種を交配して生まれたのが、現代の私たちが知る「比内地鶏」。
代を重ねて味を極めてきた比内地鶏は、いわば“地鶏界のサラブレッド”と言えるかもしれません。
どこが違う?「比内鶏」と「秋田比内鶏」
明治に入り外国産鶏の輸入に押され飼育数が激減した比内鶏は、絶滅の危機に陥りました。
そこで国は昭和17年に比内鶏を国の天然記念物に指定。これが現在の観賞用の「比内鶏」です。
観賞用・食肉用どちらも遺伝子は同じですが、外見的な違いが顕著になってきたため現在では観賞用を「比内鶏」、食用を「秋田比内鶏」と呼んでいます。
煮て、焼いて、スープにして――際立つ濃厚なうま味と深いコク
鶏でありながらキジやヤマドリのような濃厚な風味と香気を備え、噛むほどに味とコクが際立つ比内地鶏。
そのおいしさから名古屋コーチン(愛知)、薩摩地鶏(鹿児島)とともに「日本三大美味鶏」のひとつに数えられています。
赤みが多くしっかりした肉質と冷涼な気候が育んだ甘味を含む脂は、煮てよし、焼いてよし、スープをとってもよし。
「きりたんぽ鍋」をはじめとする秋田の食文化の要を担う食材のひとつです。
比内地鶏のおいしさは科学的にも明らかに
比内地鶏はなぜおいしいのか? そこで一般的な食用鶏肉であるブロイラーと比内地鶏のそれぞれに含まれるうまみ成分量を調べてみたのがこちらのグラフ。
ご覧の通りうま味成分である「イノシン酸」と、鶏肉のうま味に関与する「アラキドン酸」どちらも比内地鶏の方が多く含んでいることが明らかに。
おいしさ自然産。太陽の降りそそぐ大地で、のびのびと長期間育成
比内地鶏は、味・品質を維持するために「飼育方法」「飼育密度」「飼育期間」に厳しい基準を設けています。
澄んだ空気ときれいな水をたたる恵まれた自然の中でさんさんと降り注ぐ日の光を浴びて長期間じっくりと飼育することで、おいしく安全な比内地鶏がつくられます。
放し飼いに近い環境でのびのびと育つ比内地鶏は、まさしく自然が育んだ地鶏なのです。
3つの飼育基準
①飼育方法「のびのび」
28日齢以降は平飼いまたは放し飼いでのびのび育成。大地の上で行われるたっぷりな運動と日光浴により良質な肉質に
②飼育面積「ひろびろ」
特定JAS※が定める「1㎡あたり10羽以下」よりも広い「1㎡あたり5羽以下」の飼育面積で育てます
③飼育期間「じっくり」
雌150日以上(雄100日以上)という、特定JASが定める基準(75日)の約2倍に近い日数をかけてじっくり育てます
※食品の生産や製造方法、使用原材料に何らかの付加価値が認められ、かつ一定の基準を満たしたものに表示できる新しい日本農林規格
すべての比内地鶏は秋田県が定める「比内地鶏ブランド認証制度」により認証された生産者・加工業者を経て皆さまの食卓へお届けしています。平成21年からはDNA識別も導入し、さらにブランドの維持・管理体制を整えました。