にかほ市釜ケ台地区は、にかほ市の北東部に位置しており、釜ケ台(かまがたい)、冬師(とうし)、上坂(かみさか)、下坂(しもさか)の4集落から構成されています。






      
春には約260ヘクタールにおよぶ広大な冬師湿原で野焼きが行われ、雪化粧を残す真っ白な鳥海山を背景に、煙と炎が立ち昇る様子は、1年に1度しか見られない冬師湿原の貴重な姿です。

      

また釜ケ台集落の山神社では、「釜ケ台御獅子神社祭典」が毎年行われるなど、様々な伝統が受け継がれています。

       
夏には4集落合同の夏祭りが行われ、秋の稲刈り時には、女性たちは、今では珍しい『ふくべ』を被って稲刈りをしています。                                  (※『ふくべ』とは、農作業着の黒い覆面のことです。)


    

    
さらには、「本海獅子番楽」の流れをくむと言われている「釜ケ台番楽」と「冬師番楽」が400年以上続けて受け継がれています。存続の危機を迎えたこともありますが、しきたりにこだわらず、未来へ繋いでいこうと工夫を凝らして伝統芸能を守り続けています♪

こうした古くからの伝統の継承や、日本百名山、日本百景にもなっている鳥海山を間近に眺めながら、澄んだ空に輝く“天の川”や数々の星を仰ぐことのできる景観と、そして豊富な山菜などの地域資源など、伝統と自然が融合する日本らしい佇まいが残る地域です!!

そんな釜ケ台ですが、昨今の少子高齢化のあおりを受け、人口減少が加速してきていました。
このまま、何もしないでいたら、どんどん人口減少が続き、数十年後には消滅の危機を迎えてしまう集落もあるような状況です。


そんな中、自分の生まれ育った地を誇りに思い、この地を存続させたいと思う若者が、持続可能な地域にするため、少しづつ動き始めていました。地域で農業を営む佐藤渓輔さんです。
そして、そのことを理解して後押ししようと、釜ケ台自治会の会長も動き出しました。        


そこへ、県や市もお手伝いできるようにと、事業の提案をして始まったのが「釜ケ台地区の魅力を拓く会」です。^^ 
釜ケ台地区振興協議会の会員が主になって、この会に参加しました。
後ろ向きな意見もあったものの、『地域の将来は地域で決める!』ことが大事。と、この会を自分たちが主になり進めていくこととし、県でも地域づくり活動に対して、助言や指導ができるアドバイザーを派遣することになりました!これが昨年の8月末のことです(^^♪

     

     
10月末には、アドバイザーも決まり、釜ケ台地区の資源や風景を見て回りましたよ(^^♪


11月中旬、アドバイザーの方が進行役となり、今後の実施計画について打合せを行いました。
そして、翌月から地区の将来ビジョン策定にむけ、計3回のワークショップを開催することとなりました。
開催場所も4集落の自治会館の持ち回り方式です。^^

        ★★★★★★★★★★★★★★ ワークショップ 第1~3回の様子 ★★★★★★★★★★★★★★
 
 ◇12月7日(水) 第1回ワークショップ 於:上坂自治会館

    
同じ集落同士、3つのグループに分け、それぞれ付箋紙に自分自身の地区に対する想いや、大事にしている場所、課題などを書き込み、その後に、グループで意見を出し合う形で進められましたよ。

      
このワークショップが始まるまでは、後ろ向きな意見を述べる方も多かったのですが、アドバイザーの進行により、話し合いを進めたところ、3つのテーブルからは、各自が心に想っていた前向きな意見や考えが、たくさん出てきました♪
この会を進めるにあたり尽力していた佐藤渓輔さんも驚きを隠せない様子でしたよ。^^
さらには、ワークショップに参加していない住民がどういう思いでここに住んでいるのか、地域の課題や魅力だと思うことを知った上で進めていきたいとのことから、地区住民の中学生以上を対象に、住民アンケートを実施することも決まりました!

 ◇2月1日(水) 第2回ワークショップ 於:下坂自治会館
 グループ分けは前回と同じです!年末年始を挟んだこともあり、前回より少し間が空いてしまいましたが。。。
       
この回は住民アンケートの結果資料をもとに、アンケート結果に対するそれぞれの感想と、課題解決に向けたアイデアをテーマにして、進められましたよ♪


アンケート結果で、住民が最も多く課題としてあげていたのが、“空き家対策”ということもあり、にかほ市の地域おこし協力隊の移住リエゾンの方を招き、空き家バンク制度の説明もしていただきました。

     
〇アンケート結果の感想
・自分が思っているより愛着度が高く、50代女性が“愛着がある”が100%には驚きがあった。
・住み良いと思っている人が結構多い。特に30代では住みにくいと思っているが、住み続けたいというのはどういうことなのか知りたいので、世代別の対話が必要だと感じた。などなど。
 この日も、たくさんの感想やアイデアがでましたよ。^^
   『どぶろくは4集落に作れる方がおり、冬師には「ぬまエビ」という特産があるので、セットで売り出しても面白いのではないか。』や『田んぼや畑にワラビを移植して栽培するのもよいのではないか。』など、豊かな発想がたくさん出てきて、参加した皆さんも大いに盛り上がっていました♪
 
 次回は、この日、話したアイデアを実現した時に、どういった地域になるのかという目標を話し合い、ビジョンとしてまとめていくということになりました。

◇2月28日(火) 第3回ワークショップ 於:釜ケ台多目的会館
前回同様、グループは同じ。前半でキーワードとなる言葉を出し合い、後半は、地区のありたい姿を文章にすることとしました。
   

 
3つのグループの、それぞれのありたい姿の言葉が発表されました。
①釜ケ台グループ
『鳥海山の桃源郷 釜ケ台』
→込めた想いは、自然や伝統などよい所が沢山あり、子育てしやすい、高齢者になっても住みやすい、ここに来れば何不自由なく暮らせるという意味を込め、地域住民にも伝わりやすい言葉にした。
②冬師グループ
『“えん”をつなぐ釜ケ台』
→込めた想いは、外からの体験者や交流者ら縁のある人を迎えることによって、地域をつないでいき、円となるという意味を込めた。
③上坂、下坂グループ
『日頃の生活によって自然の美しさが整備維持されていることで自分たちが暮らしつづけられる釜ケ台』
→込めた想いは日頃から、春になると野焼きをして草を刈り、稲を植え、稲を刈るということを繰り返し、自然の美しさが整備され維持されることを強調した。

それぞれのグループで個性あふれる言葉が発表されましたよ。^^
そして、この案を、ワークショップに参加していなかった住民に報告会を開催して発表することにしました!
    
 【地域住民への報告会】
◇3月25日(土)  於:釜ケ台多目的会館
 快晴のこの日、「釜ケ台地区の魅力を拓く会」の活動報告会が開かれました!
 住民25名(こども2名含む)、外部関係者、約10名が参加しました。

    


始めに県から資料に基づき、地区の人口推計と住民アンケート結果の報告を行い、アドバイザーからは拓く会の目的や3回行った話し合いで出たビジョン案などを、報告していただきました。


そして、佐藤渓輔さんからは、自身が営む「(株)ひの里」の取組についての説明がありました。
渓輔さんには、小学生のお子さんがいらっしゃいますが、そのお子さんが学校で詠んだ詩を披露しました。お子さんが何気ない日常を見て感じたことをそのまま素直に詠んだものだというのが、よく伝わってきていました。
「何気ない日常を保っていくことが地域づくり、日々の生活が美しい景観をつくっていくのではないでしょうか。」と話されていたのが印象的でした(^^♪

最後にこの日の参加者で話し合いを行い、計画づくりに中心的に関わるメンバー候補をあげました。
この後は、来年度1年間かけての組織づくりや、計画の具体化に向けて本格的に取り組んでいくことになります!

初めて参加した住民が、この日の感想を述べていました。
「農業を営んでいなかった家の息子さんが、耕作放棄地を整備し、農業を始め、この土地を守ろうとしてくれていることに、すごく感動しています!自分のできる範囲での協力は惜しまない。」と、とても嬉しそうに話していましたよ。^^
また、にかほ市の担当職員の方は「自発的にこういう会が始まったのは、凄いことだとビックリしています。この会が住民一人一人が自分ごとに置きかえることができるキッカケになるのではと思っていて、これからも応援を続けたい!!」と話していました。頼もしい限りですね。^^

    
この日の釜ケ台は、道路わきに沢山の“ふきのとう”が顔をだし、地域の川は雪解け水がごうごうと音をたてて流れていました!
「釜ケ台地区の魅力を拓く会」の新たなスタートとなる春はそこまで来ているようでしたよ。
この先の釜ケ台地域の益々の発展をお祈りします(^^♪

【関連リンク】
●釜ケ台番楽保存会
Twitter(@kamagadai_bngk)     
Facebook(@KamagadaiBangaku)
●ひの里     
Instagram(@hi_no_sato)



以上、集落活動コーディネーターがにかほ市釜ケ台地域からお届けしました!

おまけ(^^♪

釜ケ台地域から眺めたこの日の鳥海山!
まだまだ雪が残る壮大な姿は、やはり圧巻でした(^^)






 













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