秋田市鵜養地域は秋田市河辺を流れる岩見川の源流、大又川と小又川に囲まれるように集落を形成しています。ここで「原木しいたけ」栽培を黙々と営んできた方がおります。石塚満さん(75歳)、彼がしいたけ栽培と巡り合い、今日までの歩み、そして後継者を求める素顔にせまりました。
石塚さんの一日をご紹介します♪


スーパーに並ぶしいたけは、「菌床」での栽培がメインになっている昨今ですが、「原木しいたけ」は木から直接生えてくる“しいたけ”。その独特の香りと肉厚な歯ごたえは、まさに本物の“しいたけ”ですね。

 

 
石塚さんの朝は、前日にビニールハウス(以下:ハウス)内から採取したしいたけを、出荷のために選別し、袋詰めするところから始まります。1~3月を除いては、ほぼ毎日、この作業を繰り返しているそうですよ。

 
その後、原木を置いている山へ、植菌していた木を取りに向かいます。
この原木も、岩見三内の山々から切り出された木で、ナラやクヌギが主とか。

 
1~3月に植菌した原木を、5月になると近くの所有する山へ運ぶのです。植菌してから山に1年~1年半近く置き、菌が原木にいきわたるようにします。現在、山にある原木は2,500本ほど。
その中から、130本ほど、ハウスへ運んできます。

 


山から持ってきた原木を水槽に漬けること約10日間(夏場は1週間)、その後取り出し、ハウス内の棚に陳列します。適温に置くことでようやく、“しいたけ”が生えてきます♪


「毎日、お一人でこのような作業を繰り返し、大変でないですか?」と伺ったら、「大変だけど、私の“しいたけ”は美味しいと評判で、喜んでくれる人が沢山いる。春先には、植菌した原木を販売してほしいという問い合わせも多いからね。素人が菌の植え付けから始めても、なかなか思うように“しいたけ”は育たないよ(^-^;」と、石塚さん。ご自身が育てる“しいたけ”に誇りをもっています(^^♪
現在は、秋田市内の三つの販売所へ出荷しています。


「だけどね、今はこうして元気で健康だけど、私も後期高齢者、いつ突然倒れるかわからない!娘二人は他所に嫁いでしまって、後継者がいない… これだけの“ほだ木”をそのまま放置することになったら、もったいないだろう。」と、悩みは意外に深刻です。

石塚さんがしいたけ栽培に取り組むことになった、きっかけを伺いました。

 

岩見三内の山々の木や、集落の堰を流れるきれいな水は、しいたけ栽培に適した土地であったようです。

「35歳まで大館市で会社員をしていた。自分がしたい仕事はサラリーマンの仕事じゃない。やはり農業だ。」という気持ちが強くなり、会社を退職します。ところが具体的に何に取り組むべきか悩み、近隣の農協など三つの公機関に相談の手紙を出したそうです。
そんなとき、県の指導員がやってきて、「ここの環境は原木しいたけの栽培に適しているよ!」とアドバイスを受け、それからは、県の指導をあおぎ40歳から始動、60歳を過ぎてからは本格的に取り組み、現在にいたるそうです。

 
「伏伸(ふのし)の滝」や「殿渕」などの観光スポットも多い秋田市河辺の鵜養地域!
この地で、続く原木しいたけの栽培が、いつまでも続くことを願います。

おまけ(^^♪
 
取材班が、石塚さんのしいたけを自宅で、バター焼きしましたよ。
肉厚で味も濃厚。とても美味しかったそうです♪

以上、集落活動コーディネーターが、秋田市鵜養地域からお届けしました♪