男鹿のナマハゲ 世界へ!!
「男鹿のナマハゲ」のユネスコ無形文化遺産登録に向けた講演会が4日、東京・日比谷の日本プレスセンターで開かれ、約140名が出席し、関西学院大学八木康幸教授、菅江真澄研究会天野荘平会長の講演に耳を傾けました。
主催した首都圏男鹿の会は、首都圏在住の男鹿市出身の方などで構成され、会員数は約560名。小さいことでもふるさと男鹿のために、年1回はふるさとを応援する事をやろうということを目的に活動している団体です。小野会長は、「ナマハゲのふるさとである男鹿から出てきて、このような講演会ができることは、こんなに光栄なことはない」とあいさつされました。
来賓として出席した男鹿市の渡部幸男市長は、「世界遺産への登録の時期は、はっきりしていない中、このように後押しする催しは我々とってありがたい。世界遺産登録に向け、宣伝いただければと思う。」とあいさつ。続いて、牧野一彦秋田県東京事務所長は、世界遺産や日本遺産の登録状況に触れ、「世界遺産への登録待ちが多くある中、男鹿のナマハゲもいずれ登録になると思っている。本講演会では、ナマハゲ文化をどうやって理解していただき、それをどう未来へ引き継いでいったらいいか、そのヒントがあればありがたい。」と世界遺産登録に向けての期待を込めたあいさつが続きました。
「男鹿のナマハゲ」は、大晦日の夜、仮面をつけ、藁の衣装を纏った神の使「ナマハゲ」が、男鹿の新山より下山し集落の家々を巡り、「なぐ子はいねが~」「怠け者はいねが~」と練り歩き、厄払い、無病息災を願う、来訪神行事です。
全国各地にも同じような民族行事があり、国の文化審議会は、平成28年3月に「男鹿のナマハゲ」の他に、平成21年登録済の「甑島のトシドン」(鹿児島県)などを加えた計10行事を、「来訪神:仮面・仮装の神々」として一括に、ユネスコ無形文化遺産への登録を目指しています。
講演では、始めに八木教授が「戦後における男鹿半島の観光開発の過程とナマハゲとの関係を理解するためには、集落的基盤によって支えられた「ふつうのナマハゲ」とそれとは別に新たに創り出された「もうひとつのナマハゲ」を区別して考えてみることが必要だ」として、社会的影響からの視点で「もうひとつのナマハゲ」について説明がありました。
次に天野会長が、「菅江真澄が残した、図絵はとても貴重で重要な資料である」、真澄が残した紀行文(日記)を通して、当時の生活・文化、そこに登場するナマハゲの様子を紹介されました。
講演会を通して、改めてナマハゲとは何なのか考えるいい機会になりました。
昭和30年~40年代にかけて急速に進んだインフラの整備、それに伴い観光客が増加し、併せるように新たなナマハゲ、普段私たちが目にする「もうひとつのナマハゲ」が形作られたようです。
現在、民族芸能の継承は、担い手不足や生活様式の変化さらに自治体の厳しい財政状況などにより厳しくなってきています。
世界遺産として評価されることは、伝統文化の素晴らしさや郷土の誇りを再確認する機会となり、次世代への大きな継承力になるものと思います。
これからも世界遺産登録に向け、首都圏から応援してまいりたい。そして、男鹿のナマハゲが世界で認められる日に皆で喜びを分かちあいたいと思います。 (y.k)