合同会社more 工藤愛さん(秋田市)
2019年3月4日
介護現場での経験
秋田の介護に関する情報サイト「-more-」を平成29年に立ち上げた工藤愛さん。きっかけは、工藤さん自身が介護の現場で働いた経験によります。子どもの頃から医療や介護の仕事に興味を持ち、専門学校を卒業したあと平成20年に秋田市の社会福祉法人へ就職した工藤さんでしたが、いざ現場に足を踏み入れ、施設の利用者やその家族に接すると、大きな驚きがありました。例えば、利用者の中には、介護に関する情報や制度をよく知らないまま、施設を訪れる人が多いことが分かりました。また、利用者の家族からは、県内の介護施設について調べようとインターネットで検索しても、施設の求人情報しか見つけられなかったという話を聞きました。
現場で働くことで、県内の介護施設に関する情報の少なさを実感し、それと同時に、日々の業務量の多さに手いっぱいで、施設側が小まめに情報発信するのは難しいということも分かってきました。
こうしたことをきっかけに、自分が情報を発信して伝えていければと思うようになり、サイトの立ち上げを考え始めたそうです。
介護情報サイトの立ち上げ
サイトの立ち上げを具体化させたのは、介護施設に在籍中の平成27年、長女の出産に合わせ1年間ほど休職をしたときでした。平成28年に職場復帰しましたが、公益財団法人あきた企業活性化センターが実施する「あきたビジネスプランコンテスト」にサイトの企画案を応募することにしました。工藤さんは「休職中に考えたことが本当に必要とされることなのか、他の人の意見を聞く良い機会になると思い応募しました」と話します。企画案は、1次、2次、最終審査と進み、見事にグッドプラン賞を受賞しました。この受賞をきっかけにサイトの立ち上げを決断し、平成29年の退職とともに、合同会社moreを設立。その年に介護情報サイト「-more-」を開設しました。
工藤さんは「サイトの立ち上げは家族の協力があってできたこと。起業向けのセミナーに行きたいと思った時に、夫が子どもの面倒をみてくれました。家族のサポートは本当にありがたかったです」と語ります。夫の平さんも「介護の現場にいて、それが必要と思ったのであれば応援するからやってみれば」と挑戦を後押ししてくれたそうです。
日本一高齢者が暮らしやすい街に
今後について工藤さんは「インターネット以外の媒体を利用した情報発信やイベントの開催など、様々な場所で情報をさらに発信していきたい」と語ります。介護には、する人やされる人、高齢者に優しい店作りをしている事業所など、色々な立場の人が関わっているので、もっと多角的に介護のことを知ってもらえるように『あきたの介護に関わるすべてのかたへ』というテーマで活動を続けていきたいとのこと。
最後に工藤さんは「日本一高齢化が進む秋田を、日本一高齢者が暮らしやすい街にしたいです。秋田だったら安心して暮らせると思ってもらえる情報を発信していきたい」と話してくれました。
合同会社more
●住所 秋田市広面字谷内佐渡274
●電話 050-5328-6518
●HP http://akita-more.co.jp/